2009/12/28 ヤマドリ(栗東市)

近くの山中を散策していると、ヤマドリによく出会う。しかし出会うのと撮影するのはまったく別で、警戒心の強いヤマドリは僕に気づくと、あっという間に林内に逃げ込んでしまう。野鳥をよくご存じない方は、キジとほぼ同じ大きさの鳥を想像していただきたい。逃げ方としては、飛ぶというよりも早足で走って逃げることが多く、ガサガサと下草を踏みながら逃げる足音は、小さな獣が走っているように聞こえてくる。

2009/12/21 クリスマスの満月(東近江市)

2007年のクリスマスイヴに撮影した森の満月だ。このときは「冬の森の月夜」が撮りたくて満月の日を待っていただけなのだが、聞くところによると、次にイヴが満月になるのは2026年になるらしい。イヴの満月だからといってロマンティックになるほどの年齢でもないが、そう聞いてみるとこの満月は、写真を撮っている僕へのサンタクロースからのプレゼントだったのかもしれないと思う。

2009/12/14 アカマツ芽生え(栗東市)

松ぼっくりから落ちるアカマツの種子には、モミジの種子と同じようにプロペラがついていて、くるくる回りながら遠くへ運ばれる仕組みになっている。成長にたくさんの日照を必要とするので、すでに他の植物に覆われた場所では生育しにくいそうだ。先日、林道脇の崩壊地で見つけた芽生えは5枚の葉が種子の殻を持ち上げて、今にもはじけそうに見えた。

2009/12/7 アメリカセンダングサ(栗東市)

これからの季節は油断大敵。草むらで撮影していると、体のあちこちにセンダングサがくっついてくる。帰宅前に服やズボンから丁寧に摘み取ったつもりでも、靴下などについたまま洗濯機に放り込まれ、別の服にひっついたりするものもいる。思わぬところにひっついたセンダングサを見つけると、そこまでの経路を想像し思わず笑ってしまう。

2009/11/30 サクラの落葉じゅうたん(京都市)

この季節、紅葉狩りと同時に落葉じゅうたん探しを楽しむことができる。サクラの赤、イチョウの黄、ケヤキの黄褐色、赤と黄が重なるモミジ、種類によって幹の周りに広がるじゅうたんの色はさまざまだ。それでも美しいじゅうたんが広がるのはほんの数日。夜露に濡れ風に飛ばされ、落葉じゅうたんはあっという間に枯葉色に変色してしまう。美しいじゅうたん探しに奔走中の今日この頃です。

2009/11/23 ドングリ拾い(大津市)

定期的に撮影しているコナラの木に、今年はたわわにドングリが実った。かなりの老木と思われ、先日の台風で枝などが折れはしないかと心配していたが、何事もなかったようにどっしりと構えていてくれた。木の周辺にはたくさんのドングリが落ちていて、あとから落ちてくる落ち葉の掛け布団をじっと待っているのだろうが、その前に動物たちのレストランになってしまうかもしれない。

2009/11/16 エンマコオロギのジャンプ(大津市)

夜の冷え込みが厳しくなってきた。エンマコオロギは、もうじきその一生を終える。オスはまだ鳴いているが、全盛期の力強さはなく、かすれたように聞こえてくる。メスのコオロギたちは盛んに産卵管を地面に差し込み、産卵しているに違いない。昼間、陽だまりで体を温めているようなコオロギに出会った。近づいた僕の足音に驚いたのか、あわてて大ジャンプ。草陰に逃げこんだ。

2009/11/9 ウリハダカエデ(栗東市)

栗東市金勝山(こんぜやま)にある県民の森では、早くも落葉のじゅうたんが広がりはじめていた。モミジバフウ、ケヤキ、イロハモミジ、そしてこのウリハダカエデなど、幹の周りの地面が色とりどりに染められている。ウリハダカエデとは樹皮がマクワウリに似ているのでこの名があるらしく、葉は五角形で大人の手のひらくらいの大きさがある。

2009/11/2 ヤマコウバシ(大津市)

冬になり多くの木々が葉を落としていく中、ヤマコウバシは、褐色に色づいたままほとんど葉を落とすことがない。葉が「落ちない」ということにあやかり、この葉をお守り代わりにそっと忍ばせ、受験に向かう人たちもいるようだ。受験生の皆さま、この写真には実も写っているので「実り」も期待できるかもしれませんよ。ただし、努力あっての縁起担ぎということもお忘れなく・・・

2009/10/26 コムラサキ(野洲市)

薄紫色の実が美しいので庭木として植栽されることが多いが、この実をムラサキシキブと覚えている人が少なくないようだ。実際のムラサキシキブは、山野を歩いていると、あちこちで見かけることがあり、枝も実も雑然としていてコムラサキに比べると、まとまりがない感じがある。まあそれはそれで冬枯れの山道では趣があるのかもしれないのだが・・・

2009/10/19 コナラ(大津市)

定期的に撮影しているコナラの木に、今年はたわわにドングリが実った。かなりの老木と思われ、先日の台風で枝などが折れはしないかと心配していたが、何事もなかったようにどっしりと構えていてくれた。木の周辺にはたくさんのドングリが落ちていて、あとから落ちてくる落ち葉の掛け布団をじっと待っているのだろうが、その前に動物たちのレストランになってしまうかもしれない。

2009/10/12 アカスジキンカメムシ(大津市)

秋の実を探しながら歩いていたら、タンナサワフタギの葉の上に群れる虹色の虫を発見。アカスジキンカメムシの幼虫だ。カメムシというと「臭い」というイメージがあるが、キンカメムシの仲間はあまり臭くないらしい。写真の幼虫は3齢から4齢だと思うが、この木には1齢から5齢までの幼虫が集まっていた。ちなみに1齢とは卵から孵化したばかりの幼虫で、それから4回脱皮したものが5齢幼虫とよばれる。

2009/10/5 ダムに埋もれた山里(大津市大鳥居)

16年前の、ちょうど今ごろ撮影した写真だ。現在この風景は、大戸川ダム工事により掘削土に埋没し見る影もない。大戸川は僕のデビュー作「ヤマセミ」の舞台でもあるので、20代後半ころ幾度もこの風景を見ながら撮影地に向かっていた。ここに住んでいた方々は98年に集団で移転されているが、きっと事あるごとに、この故郷を懐かしく思い出しているに違いない。

2009/9/28 エンマコオロギ(栗東市)

夜になるとあちこちから聞こえてくる虫の声。その中でも一番身近な虫がエンマコオロギかもしれない。よく見ているとエンマコオロギはとてもきれい好きで、脚や口をうまく使い入念に体の手入れをする。前脚で頭や顔の手入れをしたあと、この前脚を口できれいにする姿は、猫が顔を洗う仕草と似て愛らしく、撮影しながら思わず微笑んでしまう。

2009/9/21 山里の水田(大津市)

この水田との出会いは今年の夏。普段はほとんど利用しない道を行くと、山すそに小さな民家、その目前に曲線でできた水田、どこか懐かしさを感じる風景が目に留まった。その時この水田は、セミの声に包まれ稲は青々としていたのだが、ひと月たって再び訪れてみると一面黄金色に輝いて、稲穂にはアカトンボがとまったりしていた。

2009/9/14 満月の晩(栗東市)

9月6日、満月の居場所を確かめながら山道を車でゆっくり走ってみた。開けた場所では、ライトなしでも月明かりだけで十分に景色が確認できた。カーブを曲がったところで、モミジが月の光を受けてキラキラと輝いているのを見つけ撮影してみた。カメラの位置を変えながら夢中で撮影していたらすでに時刻は午前4時、朝がそこまで来ていることに気づかないでいた。

2009/9/7 ヤマウルシ(大津市)

先日、定期的に通っている林道を散策してきた。林道沿いの木々はほとんどがまだ夏の装いだが、ヤマウルシだけがいち早く秋の気配を見せはじめていた。ヤマウルシの葉は羽状複葉という形に分類され、小さな葉が向かい合わせに13枚ほど集まった鳥の羽のような状態が「1枚の葉」となる。 なので、この写真では10枚の葉が確認できる。

2009/8/31 スズムシバナ(京都市)

京都で3時間ほど時間ができたので、植物園を散策してみた。深緑から漏れる木漏れ日の下に、スズムシバナが咲いているのを見つけた。スズムシが鳴くころに咲くので、この名が付いたそうで、午前中に咲き午後にはしぼんでしまうとのこと。こんな暑い日の散策は少々辛いが、植物園は人出が少なく、花を独占しながらじっくり撮影できる特典もある。

2009/8/24 カヤキリ(滋賀県栗東市)

鳴く虫を探しながら夜の野道を散策していたら、「ジーーー」とひと際大きな声が聞こえてきた。声のする方向に近づき、そっと懐中電灯の光を当ててみるとクズの間から伸びたススキの葉の上でカヤキリが鳴いていた。その声は間近で聞いていると耳をふさぎたくなるほどの大音量で、近くで鳴くウマオイやササキリなどのか細い声は、ほとんどかき消されてしまっていた。

2009/8/17 コヒオドシ(北海道富良野市)

ラベンダーといえばその彩や香りを楽しむものだと思っていたのだが、北海道旅行中、ラベンダーには意外とたくさんのチョウが集まることに気がついた。それも、本州の高山帯に暮らすチョウたちが普通に見られるのだ。滋賀県で普段見かけるチョウと比べ、ラベンダー畑で吸蜜するチョウたちは、どこか気品があるように見えてしまう。

2009/8/10 硫黄山(北海道弟子屈町)

その日、霧に覆われた摩周湖を抜けて硫黄山へ向かった。駐車場で車を降りたとたん、硫黄独特の臭いがあたり一面に漂い、山側に目を向けるとレモンイエローの塊が目に入ってきた。火山ガスが噴出するようすを間近に見ながら、地球の神秘に触れることができる観光スポットである。火山ガスに包まれた硫黄の塊は、蛍光塗料のようにも見えてとても美しい。

2009/8/3 花畑(北海道富良野市)

ファーム富田は、北海道のガイドブックなどに必ず登場する有名な花畑である。この季節に北海道を訪れるのは初めてだったので、美瑛方面へ向かう途中に立ち寄ってみたのだが、小雨降る平日だというのに観光の人たちで駐車場はほぼ満車。ラベンダー、カリフォルニアポピー、カスミソウ、コマチソウなど、色とりどりの花々に魅了されて、誰もがみんな写真家になっていた。

2009/7/27 キタキツネ(北海道紋別市)

今年の北海道は、7月中旬だというのに低温注意報が出され、日中でも長袖を着ていないと寒くていられないような気候だった。そんな中、シロヨモギが群生するオホーツク海岸で2匹のキタキツネと出会った。1匹はすぐ逃げ出してしまったのだが、こちらのキツネはそれほど人を警戒することもなく、5分ほど撮影モデルになってくれた。

2009/7/13 クチベニマイマイ(栗東市)

ささやき合っているように見えるカタツムリ・・「私のこと愛してる?」「もちろんじゃないか・・」などと台詞をつけたくなるのだが、実はカタツムリは雌雄同体。簡単にいうと一匹でオスとメス両方を兼ね備えているということになる。自分から精子を相手に渡し、自分でも相手から精子をいただく。そして卵を産むのである。さて、そうなるとこの台詞・・どんな会話になるのやら。

2009/7/6 カブトムシ(栗東市)

カブトムシに関する話題が聞こえてくる季節を迎え、夜になるとカブトムシを探す懐中電灯の明かりが、線になって雑木林の中を交差したりするようになった。蚊の大群、光に向かってくる蛾の仲間たちと格闘しながら、樹液を出す木を念入りに覗き込んでいるに違いない。そんな時、大人も子供も関係なく虫捕り名人の座を賭けて、ライバル心がメラメラと燃えてくる。

2009/6/29 ヘイケボタル(栗東市)

今年は夜の気温がなかなか上がらず、ホタルの出現が例年よりも1週間ほど遅れた。ヘイケボタルは、ゲンジボタルに比べると光も弱く派手さはないが、草陰でその優しい光を見つけると、足を止めてこっそり姿を探してみたくなる。ゲンジボタル生息地のように観賞ギャラリーが集まることもなく、ホタルの夜道を独占できることがなんともうれしい。

2009/6/22 アゲハ羽化(栗東市)

5月14日に小さな卵から生まれた幼虫は、2週間後の5月28日、終齢幼虫に変身。それから6日後の6月3日に前蛹、翌日4日蛹になった。それから11日目の6月15日、蛹内部が透けて見えるようになり9時16分羽化開始。あっという間に蛹から抜け出すと、安定した場所まで歩き、羽を伸ばしはじめた。そして12時5分、青空に向かい飛び立っていった。

2009/6/15 いわし雲(近江八幡市)

いわし雲といえば秋の季語になっているが、春にもよく見られる雲である。近江八幡市円山の水郷地帯を散策していたら、あっという間に現れて、あっという間に消えていった。変わり身の早さもこの雲の特徴といわれている。ヨシに囲まれた水路で、のんびりと和船に揺られる人たちも、きっとこの空を堪能していることだろう。

2009/6/8 アマガエル(栗東市)

この季節、夜になると自宅周辺の水田からもアマガエルの大合唱が聞こえてくる。昼間は木の上や草陰に身を隠しているが、夜にはピョンピョンとアスファルト道路を横断していることもある。さて、アマガエルのジャンプ力はどんなもの? 全身の筋肉をバネにして大空に向かってジャーンプ!!飛距離は60cm。体長の20倍もの大ジャンプだ。

2009/6/1 カルガモ親子(大津市)

大津市にあるロイヤルオークホテルの池に、今年もカルガモが子育てにやってきた。ランチを兼ねて、その姿を撮影しに出かけてみると、雛はすでに自立の精神が宿っているようで、親の後を並んで泳ぐようなことはなかったが、まだまだ幼く愛らしい表情を見せ、宿泊客たちを十分に楽しませてくれていた。

2009/5/23 アゲハ幼虫(栗東市)

ベランダに置いたサンショウにアゲハが卵を産んでくれた。直径1mmの黄色い卵が5日ほどで黒くなり、そこから小さな幼虫がチョコチョコとはい出してきた。出てきた幼虫は体長3mmほど・・ 直径1mm×3.14が卵の円周とするとその体長に納得がいく。生まれてすぐに幼虫は卵の殻をきれいに食べてしまう。

2009/5/18 コイヘルペス(草津市)

2004年、日本各地の水辺でコイヘルペスが発生し琵琶湖もその例外ではなかった。ちょうど今ごろの季節、琵琶湖岸にはコイの死骸がたくさん打ち寄せられ悪臭を放っていた。近ごろコイヘルペスの発生を聞くことはなくなったが琵琶湖では今年5年ぶりに赤潮が発生した。これからも琵琶湖の環境から目が離せそうもない。

2009/5/11 ナナホシテントウ(栗東市)

ナナホシテントウは誰もが知っている昆虫で、オレンジ色の背中に七つの黒点があり、草の間をチョコチョコと歩き回る姿を思い浮かべることだろう。そんなナナホシテントウも羽化したばかりは鮮やかな黄色で、羽を伸ばしはじめたころからうっすらと黒点が現れてくる。田植えのはじまったあぜ道の片隅で新しい命がまたひとつ誕生した。

2009/5/4 キンラン(大津市)

あぜ道の花といえばスミレやタンポポ、レンゲやシロツメクサといったところが定番だが、この水田のあぜ道にはキンランが咲いていた。なんと贅沢なあぜ道だろう。キンランは、山間の小さな棚田で熱心に米作りをされているご夫婦の姿を、少し気取って見てるようだった。

2009/4/27 春の小川(東近江市)

「春の小川はさらさらゆくよ・・」と童謡にも歌われている「小川」の風景が、今はあちこち探し回っても見つからない。動植物には「絶滅危惧種」とよばれ、保護に力を入れなければならない種が指定されているが、僕には絶滅を危惧する普通の風景がたくさんある。いわば「絶滅危惧地」とでも言うべきか。春の小川はその代表地である。

2009/4/20 桜吹雪(栗東市)

「花びらが散ったあとの桜がとても冷たくされるように・・・」伊勢正三さんの「ささやかなこの人生」の歌詞である。「22才の別れ」や「なごり雪」で知られる正やんの歌に高校時代、相当のめりこんでいた。そして今、桜吹雪の写真を見ながら杉良太郎さんの「すきま風」が口をついて出てくる・・そんな歳になりました。

2009/4/13 シナサワグルミ(彦根市)

ウサギ顔のような葉痕の頭に、ウサギ耳状の冬芽をつけていたシナサワグルミが芽吹きを迎えた。芽生えた時から葉の形状が羽状複葉であることが分かる。大木のある水辺にはまだ居残り組みのカモたちが羽を休めていて、視線を上げると淡緑色をした、たくさんの羽状複葉が光を透かして輝いて見えた。

2009/4/6 カタクリ(大津市)

大津市、大石に叶匠寿庵「寿長生の郷(すないのさと)」がある。山里にある六万三千坪もの敷地で和菓子作りをされているのだが、敷地内の散策路には四季それぞれに野の花が咲き、この季節カタクリやミスミソウなど早春の花々に出会うことができる。お茶や甘味を楽しみながらの散策がお勧めです。

2009/3/30 ヒガラ(高島市)

森の野鳥たちに恋の季節がやってきた。オスはこずえの先で自慢の歌声を響かせながら縄張りを主張し、メスへのアピールを欠かさない。巣作りもはじまり、僕の目の前をヒガラが巣材をくわえて通り過ぎていった。その行き先を見ていたら、ミズナラの木に開いた百円玉ほどの穴の中へもぐり込んでいった。

2009/3/23 アズマヒキガエル産卵(栗東市)

暖かくなるのが早かったせいか、アズマヒキガエルの産卵が例年よりも10日ほど早まったようだ。ヒキガエルは産卵の時以外は水に入ることはなく栗東市あたりでは普段は森林暮らしをしている。産卵場所でメスを待つオスの鳴き声が「クックックッ」と体に似合わず妙に可愛い。

2009/3/16 スギ花粉(栗東市)

今年もまた花粉の季節がやってきた。僕の住む栗東市の山にもたくさんの杉林があり、花粉を抱いた大量の雄花で山全体が赤茶色に見える。風が吹くとあちこちから煙が上がるように花粉が放出されるのを確認することができ、林内で撮影中、カメラに黄色い花粉が付着していることもある。

2009/3/9 黄砂の日(大津市)

黄砂予報の日、街全体が薄褐色のベールに包まれた。黄砂の要因としては、東アジアの森林減少による砂漠化の可能性も指摘され、舞い上がった粒子は、太平洋を越えて北米までも運ばれたこともあるらしい。舞い落ちる粒子には、大気中の科学物質が付着し、動植物に悪影響を及ぼすことが懸念されている。

2009/3/2 春の気配(大津市)

比良山の麓にある野道を歩いてみた。比良には雪が残っているものの棚田の土手には春の気配・・カンサイタンポポが小さな花を一輪咲かせていた。セイヨウタンポポは四季をかまわず一年中咲いているが、在来種のタンポポは季節の訪れを感じられる繊細な感覚を持ち合わせているらしい。

2009/2/23 セタシジミ漁(大津市)

セタシジミは琵琶湖固有種のシジミである。琵琶湖の特産物でもあるのだが、高度経済成長とともにその水揚げは激減している。浚渫工事に伴い、長さ6mもあるタモ網(漁に使う網)が水底に届かないほど深くなり、シジミが好む砂地の上にヘドロがたまったことなどが激減の要因と考えられている。

2009/2/16 クロヅル(鹿児島県出水市)

古い写真を整理していたら、クロヅルの写真が出てきた。今から25年ほど前に撮影した写真だ。長年にわたり、ツル保護監視員として尽力されてきた又野末春さんが今年1月亡くなられた。まだ写真をはじめたばかりの僕を軽トラックに乗せて、クロヅルのそばまで連れて行ってくれた又野さんの優しい笑顔が今もはっきりと浮かんでくる。

2009/2/9 ムシカリ(大津市)

この冬、冬芽と葉痕をいくつか撮影してみた。葉痕は晩秋に葉が落ちた痕で、木々によってはそれが人や動物の顔に見える。 写真のムシカリ、帽子をかぶった森の小人が両手を挙げて喜んでいるように見えないだろうか・・・

2009/2/2 コナラ林(高島市)

冬のドングリのようすを撮影するため、コナラ林を訪れてみた。 地面に積もった落ち葉をめくってみると、コナラのドングリからはすでに3cmほどの根が出ていて、春が来るのを今か今かと待ち焦がれているようだった。地面ばかり見ていたせいか、何気なく見上げた空の青さが、とても眩しく感じられた。

2009/1/26 アゲハの蛹(栗東市)

道端のサンショウの木にアゲハの蛹を見つけた。冬枯れ色の風景の中で、これほど鮮やかな緑色では、かえって敵に見つかりやすいのでは・・・といらぬ心配をしてしまう。蛹に変身する場所によって、体色の変異が見られるのだが、幼虫時に餌にしている食草の木で蛹になる場合、こんな緑色になるらしい。

2009/1/19 イロハモミジ(長浜市)

この冬一番の寒波が湖国にやってきた。昨夜のうちに降った雪が、公園のイロハモミジに雪の花を咲かせていた。雪の花は雲間から顔を出した日に照らされしばらくはキラキラと輝いていたが、やがて雫の花びらへと形を変え、枝を伝い地面へと消えていった。

2009/1/12 ソシンロウバイ(野洲市)

肌を刺すような寒風の中で小さな春を見つけた。葉を出す前に咲きはじめるロウバイはとても良い香りがする。真っ青な空を背景に、花を透かしてみると花質が蝋細工のようで、ロウバイを「蝋梅」と書くことに深く納得する。

2009/1/5 コハクチョウ(湖北町)

冬の琵琶湖にはたくさんの水鳥たちがやってくる。その中でも一番目を惹くのがコハクチョウだ。青空をバックに手の届きそうなところを、次々に飛翔する姿をカメラで追いかけていると、あっという間にフィルムカウンターが進んでしまう。それでもシャッターを切らずにはいられない。

2008/12/29 ナミテントウ(大津市)

夏の間、日差し避けに使われていたヨシズが、巻かれて立てかけられていた。そっと広げて覗いてみるとナミテントウが集って冬越ししていた。色の違いや模様の違いはあるものの、全て同じなかまのテントウムシだ。素早く撮影してしまわないと、すぐに目覚めてゴソゴソ動き出してしまう。

2008/12/22 アジサイ(京都市)

アジサイといえば、赤色や青色の花を咲かせ、梅雨に濡れる姿を思い浮かべるのが普通だが、冬のアジサイもなかなか面白い。葉の落ちたあとが人の顔のように見えるのだ。自然観察では「冬芽の観察」とよばれ、散策しながらさまざまな顔を捜して楽しむことがある。

2008/12/15 セイタカアワダチソウ(栗東市)

この秋、頻繁に通いカメラを向けていたセイタカアワダチソウの群生地をしばらくぶりに訪れてみた。たくさんの虫たちが集っていた黄色い野原は、逆光の中で銀色の綿毛野原に変身していた。

2008/12/08 ヤマモミジの大木(京都市)

モミジは日当たりの良い葉から色づいてくる。大木になると下の方の葉にはなかなか日が差し込まず、長い時間緑色のまま残る。そんなわけで一本の木で赤から黄、黄から緑への美しいグラデーションを見ることができる。

2008/12/01 落葉さがし(栗東市)

11月下旬、公園のモミジたちは早くから色づいた順番に葉を落しはじめていた。落葉は幹のまわりを囲むように丸く円を描くように重なっていて、枯葉色の芝生に赤い絨毯を敷いたように見える。幼げな少女が「赤い葉っぱ・・黄色い葉っぱ・・」と言いながら楽しそうに落葉さがしをしていた。

2008/11/24 コウゾ(大津市)

森や林は落葉の季節。林道を歩いていると赤色、朱色、黄色など色とりどりの葉が落ちている。樹木それぞれで形もさまざま。そんな中コウゾは一本の木に形の違った葉がついている。たまには童心に帰り、落葉を拾って並べてみるのも面白い。

2008/11/17 クヌギ(高島市)

秋の雑木林を歩いていると、あっちでパン!こっちでコン!むこうでトン! ドングリの落ちる音が聞こえてくる。ドングリは葉に当たったり、細い枝にぶつかったりしながら地面に落ちてくる。落ちた実は、あとから落ちてくる葉を掛け布団にして春になるのをじっと待つ。

2008/11/10 オオカマキリ(栗東市)

今年の10月、セイタカアワダチソウで産卵するオオカマキリを6匹ほど観察することができた。逆立ちの状態でしばらくじっとしていて、やがてお尻の先を回すようにして産卵がはじまる。産卵開始からおよそ2時間で産卵は終了し、白い卵塊は翌日には薄茶色に変化する。

2008/11/03 ヒメカマキリ(栗東市)

林道を歩いていると群生するクズのすき間を、何者かが素早く動く姿が目に留まった。
ヒメカマキリだ!! 50年の人生で初対面となる。3cmほどの小さなカマキリなのだが、図鑑によると日本の固有種らしい。

2008/10/25 ツマグロヒョウモン♀(栗東市)

セイタカアワダチソウの群生地にツマグロヒョウモンが吸蜜にやってきた。 ツマグロヒョウモンは警戒心が薄く、いつも近距離で撮影させてくれる。 ヒョウモンチョウのなかまを見分ける能力がない僕にも、ツマグロヒョウモンの雌だけはすぐに判別ができる。

2008/10/18 ナツアカネ♀(栗東市)

金勝山麓のため池でススキにとまるナツアカネをみつけた。
水面には初秋の光が斜めに差込み、美しい背景を演出してくれた。