2023/12/25 いつ降りてくるの? … オオムラサキ幼虫、冬越し開始(栗東市)

ドングリは、地面に落ちると、まず根を出しはじめる。そんなコナラのドングリを拾い、二つに割ってみた。すると、そこにいたのはシギゾウムシの幼虫。一匹だけでなく、少なくてももう一匹いるように見える。シギゾウムシの幼虫は、ドングリの子葉になる部分を食べながら、食べた部分を自分の糞で埋めていく。そして体が大きくなると、外皮に丸い穴を開けて外へ脱出し、地面に潜り、蛹から成虫へと変身していく。写真のように複数の幼虫がいると、脱出後のドングリには、その数だけ、まん丸の穴があいている。
(Canon6D ISO 100)

2023/12/11 ドングリを食べる … コナラの中のシギゾウムシ(栗東市)

ドングリは、地面に落ちると、まず根を出しはじめる。そんなコナラのドングリを拾い、二つに割ってみた。すると、そこにいたのはシギゾウムシの幼虫。一匹だけでなく、少なくてももう一匹いるように見える。シギゾウムシの幼虫は、ドングリの子葉になる部分を食べながら、食べた部分を自分の糞で埋めていく。そして体が大きくなると、外皮に丸い穴を開けて外へ脱出し、地面に潜り、蛹から成虫へと変身していく。写真のように複数の幼虫がいると、脱出後のドングリには、その数だけ、まん丸の穴があいている。
(Canon6D ISO 100)

2023/11/27 小さなドングリ … スダジイを食べるニホンリス(栗東市)

あちらこちらで、いろいろなドングリが落ちる季節。そんな中でも、スダジイは小さなドングリで、円錐形の形をしている。この木の下には、たくさんのドングリが落ちていて、リスが頻繁にやって来る。ドングリは、リスの小さな手でも隠れてしまうほどの大きさで、あっという間に外皮を剥がされ、飲み込まれてしまう。食べる部分が少ないため、リスは、木の周りを忙しく動き回り、美味しそうなドングリを選別する。そして、何かに警戒すると、すぐに木に駆け上がり、常緑の葉陰に隠れ、じっと動かなくなる。
(Canon6D ISO 400)

2023/11/20 イラガ見つけた … シジュウカラの食事(京都市)

葉を落としたモミジの木で、イラガの幼虫を見つけたシジュウカラをワンショット。イラガの幼虫の棘には毒があり、誤って触れてしまうとヒリヒリとした痛みが続く。近くに水道などがあれば、水を出したまま毒を押し出すようにしていると、痛みが和らいでくる。人にとっては、こんなやっかいな毛虫も、シジュウカラはいとも簡単に、くちばしで調理し、飲み込んでしまう。イラガは卵型の固い繭で越冬する。おそらく越冬準備をしているところを、シジュウカラに見つかってしまったのであろう。食物連鎖がここにある。
(Canon6D ISO 100)

2023/11/13 そろそろ冬毛 … 毛並みがきれいなタヌキ(栗東市)

2頭のタヌキが光電管カメラにやってきた。撮影時間を見ると、夕方の4時、まだ明るい時間に行動していることが分かる。顔周りはスリムで、夏毛の名残があるが、体はモコモコ冬毛に変わってきている。動物たちはずっと野外で暮らしていて、体は風雨にさらされているはずなのに、何故こんなにきれいな毛並みを保っていられるのだろう。ここでは、シカやイノシシが画角にうまく入るよう、カメラをセッティングしてあるため、アカネズミなどの小動物は、点のようにしか写らない。タヌキぐらいがちょうど良い。
(Canon6D ISO 100)

2023/11/6 エライオソーム … アケビの種子を運ぶアリ(栗東市)

林下で、アケビの種子をせっせと運ぶアリを発見。アリは種類が多く、アズマオオズアリかと思うが、断定はできない。アケビの種子には、先端にアリが好む物質を含んだ白い部分があり、この部分をエライオソームとよぶ。春であれば、スミレやカタクリの種子にエライオソームが付属している。アリは種子を巣まで運び、エライオソーム以外の部分は捨ててしまうため、植物はそこで新しく育つことができる。植物の種子散布戦略の一つといえる。落ち葉や倒木など、障害物を乗り越えながら、懸命に種子を運ぶ姿をワンショット。
(Canon6D ISO 100)

2023/10/30 秋の里山 … 光電管の黒色タヌキ

ここ最近、光電管カメラにタヌキが数頭登場するようになった。なぜ、数頭と分かるかというと、ちょうど夏毛から冬毛に変わる途中で、それぞれの毛色が違っている。その中でも、この個体は黒色が強く、まだ若い個体のように見える。この場所は、今年の冬から光電管を設置していて、冬から夏の間は、たまにしか姿を見せなかったタヌキたちが、秋になり、数多く出現していることが謎であり、自然の面白さだと感じている。こらから冬に向けて、どんな動物がどんな顔で登場してくれるか、楽しみが広がる光電管撮影。
(Canon6D ISO 100)

2023/10/23 ようやく発見 … 生垣で鳴くクサヒバリ(野洲市)

日中、野道を歩いていると、笹薮や生垣から「リリリリリ・・」と美しい声が聞こえてくる。声の正体が、クサヒバリと分かっていても、その姿を見つけることは至難の業。大きさが8mmほどと小さく、葉陰に隠れるようにして鳴くために、居場所がなかなか目視できない。鳴き声の方向に耳を近づけても、その声が響くため、ピンポイントで見つけることが難しい。先日、生垣に落ちて、まるまった枯れ葉の中で鳴いているのを、ようやく発見。2時間ほど粘り、顔を出して鳴いてくれたところをワンショット。
(Canon6D ISO 100)

2023/10/16 秋のヤンマ … カトリヤンマの飛翔(栗東市)

地面で鳴くマダラスズを、膝をついて見ていると、耳元で「ブーン」と音を立てて、何者かが通過した。顔をあげてみると、ヤンマが狭い範囲を行ったり来たりしていた。すぐそばに来た時に、秋になっても活動を続ける代表的なヤンマ、カトリヤンマと判別できた。ただ見ていると、4枚の翅を揃えて飛んでいるように見えるが、翅の動きが見えるように撮影してみると、4枚それぞれが、ねじるようにして自由に動いていることが分かる。青い目、緑色の胸、お腹の付け根がキュッと引き締まった美しい飛翔姿をワンショット。
(Canon6D ISO 100)

2023/10/9 ペロりん … 目をなめるヤモリ(長浜市)

久しぶりに、愛弟子の関慎太郎くんと夜遊び。長浜市までヤモリの撮影に出向く。まだ明るい時間から、卵探しや糞探しをしながら、暗くなるのを待つ。夕方前に、激しい雨が降り出し、心配したが、暗くなると雨も上がり、あちらこちらに、ヤモリが出現しはじめた。僕の狙いは「ヤモリの保護色」。壁板と保護色になるヤモリを撮影していると、ピンク色の舌で目をペロりん。ヤモリには、トカゲやカナヘビのように瞼がなく、目は開いたまま。目に付いたゴミや汚れを舌で掃除するらしい。いくつになっても夜遊びは楽しい。
(Canon6D ISO 100)

2023/10/2 ドングリ虫(その3) … コナラシギゾウムシ産卵中(大津市)

コナラのドングリに、穴を開けているコナラシギゾウムシがいた。目線より1mほどの高さにいて、100mmマクロではゾウムシが小さ過ぎる。そこで、300mmに中間リングを装着し、撮影開始。30分ほどかけて、口吻が隠れるまでの深さに穴を開けると、体の向きを変えて、産卵管を差し込み産卵。その口吻は、ずば抜けて長く、野鳥のシギに例えると、ハイイロチョッキリやクヌギシギゾウムシが、チュウシャクシギ。コナラシギゾウムシは、より嘴の長いホウロクシギといったところ。もうじき、ドングリが茶色く熟して落ちる。
(Canon6D ISO 100)

2023/9/25 ドングリ虫(その2) … クヌギシギゾウムシ(守山市)

アベマキのドングリにクヌギシギゾウムシがいた。先週紹介したハイイロチョッキリよりも一回り大きく、卵を産んだドングリを切り落とすことはない。ちょうどドングリに穴を開けているところで、急いで撮影を開始する。運の良いことに、目線の高さのドングリにいてくれて、口吻で穴を開け、産卵するところまで観察することができた。ただ、アベマキの殻斗は厚く、反り返りが多いため、その穴を見ることはできない。この小さな体で、固い殻斗を貫通させ、ドングリに穴を開ける力を持つことに、感心させられる。
(Canon6D ISO 100)

2023/9/18 ドングリ虫 … ハイイロチョッキリのペア(大津市)

この時期の楽しみの一つが、ハイイロチョッキリ探し。ドングリに長い口吻を差し込み、中身を食べたり、卵を産んだりとドングリとの関係が深い昆虫。ただ体が小さく、殻斗の色に似ているため、近くにいても意外と見つけにくい。その上、高い場所にいることが多く、撮影可能な低位置でのモデル探しには時間がかかる。写真は、右側のメスが実に穴を開け食事中のところへ、奥からオスが近寄ってきた場面。コナラの木の下には、ハイイロチョッキリが切り落としたドングリが、葉と一緒にたくさん落ちている。
(Canon6D ISO 100)

2023/9/11 カラタチの垣根 … ナミアゲハの産卵(京都市)

カラタチの垣根にナミアゲハが産卵にやって来た。カラタチはミカン科で、ナミアゲハ幼虫の食草になる。この時期、夏型アゲハの産卵シーズンがピークを迎えているらしく、垣根の前で待っていると、次々に産卵にやってくる。ただ、多くのアゲハは羽がボロボロで、最後の命を振り絞りながら産卵していることが、レンズを通し伝わってくる。写真をよく見ると、産卵中の葉のすぐ下に、すでに産み付けられている卵があることが分かる。まわりを丹念に探すと、卵から終齢幼虫まで、さまざまなステージが観察できる。
(Canon6D ISO 100)

2023/9/4 秋を運ぶセミ … 最小のチッチゼミ(栗東市)

秋の訪れを告げるセミといえば、ツクツクボウシとチッチゼミになる。ツクツクボウシは平地の公園や市街地でも、その声を聞くことがあるが、チッチゼミは山間地にだけ生息する。沖縄県を除く国内では最小のセミで、その名の通り「チッ、チ、チッ、チ」と小さな声で鳴く。栗東市の山では、カブトムシやクワガタムシの姿が消えるころ、同じ雑木林から、声が聞こえてくるようになる。体が小さいため、高い場所にいると、見つけにくく写真が撮りにくいが、この個体は手の届くような位置に止まってくれていた。
(Canon6D ISO 320)

2023/8/28 ただ待つのみ! … ツクツクボウシのおしっこ撮影(守山市)

セミのおしっこ撮影は、意外と根気がいる。セミは針状の口吻を樹皮に差し込み、樹液を吸いながら放尿する。水辺で生育する水分の多いヤナギの木などで吸汁していると、放尿の間隔が短くなるが、多くの場合、その瞬間を狙うためには、かなりの時間がかかる。その上、その瞬間を撮り逃すと、再びセミを見つめたまま、ひたすら待つことになる。カメラを三脚にセットし、電磁レリーズを持ち、放尿の瞬間にシャッターを切る。右に放出するか、左に放出するかも運しだい、アングル設定も一か八かになる。
(Canon6D ISO 100)

2023/8/21 君は何者??? … ウストビイラガの幼虫と判明(栗東市)

林道をぶらぶらと歩いていると、アワブキの葉に得体のしれない生き物がいた。「これはなんだ?」正体が分からないので、直に触ることはできず、葉を持って側面から見たり、正面から見たりしてみるが、何の仲間かさえ分からない。しばらくそっと見ていると、葉を食べはじめた。草食であることと、尖った尾部の形から「蛾」の幼虫ではと想像し、帰宅後調べてみると、ウストビイラガという、イラガの仲間の幼虫と判明。普通、チョウやガの幼虫といえば、イモムシや毛虫だが、なぜこんな形になったのだろう??
(Canon6D ISO 100)

2023/8/14 芸術品 … ヤマシロオニグモの巣(栗東市)

22時の樹液昆虫散策、その道すがら出会ったヤマシロオニグモの巣。直径1mもある大きな垂直網で、目の前で懐中電灯に照らし出されたとき、その美しさに魅了された。まさに芸術品、今まで見たクモの巣で、断トツの美しさ。オニグモは夕方から30分ほどかけて、これほど美しい巣を作り、朝になるとこの巣を自分で食べて消滅させてしまう。そして、葉陰に隠れ日が暮れるのを待ち、再び美しい巣を作り出す。これだけ大きな巣になると、少しの風でも大きく揺れて、撮影が難しくなるが、巣作り一連をじっくり撮ってみたい。
(Canon6D ISO 100)

2023/8/7 地上15m … アマガエルとタマムシの飛翔(栗東市)

真夏の樹上にいるアマガエルを、時々見かけることがある。高さが15m以上もある樹上を見る機会はそう多くはなく、樹冠トレイルの上から木々を見下ろすか、谷底から生えている木を橋の上から見下ろす場合などがある。今回は、谷から生えるエノキの樹上を飛び回るタマムシを、橋の上から撮影していた時だった。アマガエルが、なぜこんな樹上にいるのか、よく分からないが、樹液に来る昆虫を撮影していると、そこに集まる小さな虫を待ち伏せるアマガエルに出会ったりもする。食事後、その木をどんどん登っていく。
(Canon6D ISO 400)

2023/7/31 チャンスを逃すな! … 昼間の林を飛ぶカブトムシ(栗東市)

カブトムシは本来、夕方から朝方に行動することが多く、カブトムシ捕りも、夜間に懐中電灯を片手に樹液場を見回ることになる。そんなカブトムシの飛翔を撮るとなると、あれこれと工夫が必要になる。夜間はよく飛ぶので、工夫次第で撮影できる確率は上がるが、昼間は地面に潜り込んでいることが当たり前で、よほど運がよくないと飛ぶ姿を見ることは難しい。それを撮影するとなると、運のほかに「粘り」が必要になる。その上、暗い林内でのピント合わせも重なり、飛ぶ姿を追いかけながらのワンショット。
(Canon6D ISO 1250)

2023/7/24 季節外れですが … 長浜盆梅展、俳句入選(長浜市)

「梅の香や竹生の神も目閉づらむ」梅の香りを、竹生島の神様さえもうっとりと目を閉じ、感じているに違いない・・と詠んだ句。夏井いつき先生より入賞いただきました。昨年の盆梅展で、妻が特選をいただき、今年、その句の記念撮影に行ったついでに詠んだ即席の句。小学生の時に俳句を作った記憶があるが、それ以来の作句。妻は2年連続の特選とはいかなかったものの、同じく入賞12句に選ばれ、夫婦での受賞となった。写真俳句というものがあるらしく、もう少し歳を重ねたら「近江の細道」でも作ってみようかな・・
(Canon6D ISO 100)

2023/7/17 可愛い芋虫 … ゴマダラチョウの幼虫、食事中(栗東市)

撮影フィールド内にある、エノキの木。ここではゴマダラチョウの幼虫が、僕の背と同じくらいの高さで、観察することができる。幼虫は、昼間の多くの時間を葉の上でじっと動かずに過ごし、時々背伸びをするようにしては、またペタッと身を伏せる。身を伏せていると葉の色と保護色になり、そう簡単に見つけることはできない。食事は5分ほどの短い時間ですませ、また元いた葉上にさっさと帰っていく。食事中が一番危険なことを知っているのだろう。幼虫は緑色のイモムシ、正面から見た顔は、なんとも可愛い。
(Canon6D ISO 100)

2023/7/10 アマガエル上陸開始 … 細いツルもなんのその(栗東市)

今の季節、田んぼの周りには、カエルになったばかりのアマガエルが大量に発生している。あぜ道を歩くと、次々に飛び出してくるため、踏みつけてしまいそうで、一歩一歩気遣いながら進まなければならない。小さなアマガエルは軽量で、細い葉の先端に座り込んで休息していたりもする。カナムグラの群生地でキタテハの幼虫探しをしていたら、こんな細いツルの上にもちょこんと一匹。「動くなよ、動くなよ」と声をかけながらのワンショット。すでに近くの山に入り、標高500mほどのところまで登ってきた個体もいる。
(Canon6D ISO 100)

2023/7/3 朝ドラ「らんまん」 … マルバマンネングサ(京都市)

「遠くから見たら、まるで金色の星粒がキラキラしゆうみたいや」。牧野万太郎(モデル・牧野富太郎)が発見し、ロシアの植物学者マキシモヴィッチ博士が[Sedum makinoi Maxim.]と学名をつけたマルバマンネングサ。「おまんの名が、あの草の名になって、世界に出ていくがか」と祖母のタキさんが発した一言が思い出される。星のように見える黄色の花弁は5枚、葉に厚みのある多肉植物。常緑であることから(万年草)、多肉であるため、葉や茎に水分を蓄えることができ、岩場など水分の少ないところでも生育できる。
(Canon6D ISO 100)

2023/6/26 美しすぎて … 林道で下草を食べるヤマドリ(栗東市)

山道で時々出会うヤマドリ。美しい羽根色をしたオスで、妙に人懐こい。人懐こすぎて、広角レンズでなければ全身を撮ることができないほど、すぐそばまでやって来る。全国でも時々ニュースになる、人の後をついて歩くヤマドリに近いものがある。すぐそばにいる範囲は決まっていて、ある地点まで来ると、そこから先は絶対についてくることはなく、斜面を駆け上がり、山の中に姿を消す。ただ近くにいるというだけで、特別これといった写真が撮れるわけではないが、食事シーンやら新しい糞などは、撮ることができる。
(Canon6D ISO 320)

2023/6/19 ハイスピードでゲット … ツバメの虫捕り(草津市)

ハス田をハイスピードで飛び回るツバメ。狙いはハスの葉や水面にいる虫たち。子育て中のツバメは、餌集めに大忙しで、次々に虫を捕獲していく。水面にいるアメンボを捕らえる時には、水面すれすれを、滑るようにして接近し、くちばしですくい取るように捕獲する。こちらは、その瞬間をなんとか撮影しようと、ツバメの動きに合わせて、手持ちのままカメラを振るが、そう簡単には撮らせてくれない。虫を捕らえるほんの一瞬、スピードが緩む、ピントリングを回しながら、その瞬間を狙う。カメラを持つ腕が筋肉痛になる。
(Canon6D ISO 400)

2023/6/12 「ボーボー」 … ヨシ原で鳴くウシガエル(京都市)

今の時期、どこの水辺でも聞こえてくるウシガエルの鳴き声。ただ、日中に鳴いている姿を撮影することは、意外と難しい。琵琶湖まわりのウシガエルは、臆病で警戒心が強く、人が近づくと、すぐに姿を隠してしまう。ここで出会ったウシガエルは、人慣れしていて、琵琶湖の個体ほどの警戒心はなく、人の姿を見てもすぐに逃げてしまうことはない。ただ、見られていることは察知しているようで、レンズを向けると鳴くことをやめてしまう。こうなると、ウシガエルがこちらを無害と認めるまで我慢比べ。やっと鳴いてくれた。
(Canon6D ISO 160)

2023/6/05 知る人ぞ知る … ゴイシジミの産卵(栗東市)

近年、減少傾向にあるゴイシジミが、ササの葉裏で産卵していた。ササの葉裏に発生するササコナフキツノアブラムシが幼虫の餌になる。撮影フィールド内の山はササが群生していて、この季節、林道を歩いていると、産卵シーンを目にすることがある。撮影する場合、ササの中に頭を突っ込むことになり、アブラムシが顔や頭に降ってきたりすることもあるが、撮影をはじめると、そんなことは気にならなくなる。白と黒のコントラストがはっきりした美しい体色、知る人ぞ知る、ちょっとシャイで控えめなチョウ。
(Canon6D ISO 100)

2023/5/29 モデル向きの性格 … 都会のキビタキ(京都市)

クスノキの春紅葉を撮影していると、美声を聞かせながら、すぐそばの枝に、キビタキがやってきた。僕との距離は7mほど。その時、カメラには300mmを装着していたため、急いで静音モードに設定、少々暗い場所だったのでISOを100から400に上げる。手持ちのまま、構図を変えながら撮影するが、普段、地元の山で出会う個体とは性格が違い、モデル姿勢のまま、大声で鳴き続けた。初夏の新緑環境も入れたくて、風景の片隅にキビタキを小さく入れたりしながら15分の撮影会。モデル撮影おつかれさまでした。
(Canon6D ISO 400)

2023/5/22 口内に寄生虫 … カラスヘビ・シマヘビ黒色型(栗東市)

田植えが終わると、畔に隠れるカエルを狙うヘビに出会う機会が増える。僕の水田フィールドにはシマヘビが多く、黒色型のカラスヘビにもよく出会う。この日も、カエルを狙うカラスヘビの動きを追っていると、少しようすが違っていて、何度も大きな口を開けることを繰り返していた。その時は、分からなかったが、自宅のパソコンで画像を確認したところ口内に黒い寄生虫が見えた。調べてみると、どうやら顎口虫。簡単に言うと、水中で卵が孵化→ケミジンコ→オタマジャクシ→カエル→ヘビという食物連鎖になるらしい。
(Canon6D ISO 100)

2023/5/15 手乗りチョウ … コミスジと共栄共存(栗東市)

ナナホシテントウを撮影していると、カメラを持つ手のまわりに、コミスジがまとわりついてきた。コミスジの狙いは手の汗。夏のような気温で汗ばんだ手は、コミスジにとって花の蜜と同じくらいのご馳走。撮影の邪魔をされては困るので、ゆっくりと食事をさせてあげることにする。その代わりに、そのようすを撮らせてもらう。コミスジは、長い口吻で、汗をなめはじめると、その手を少々動かしても逃げることはない。青空に手をかざし、左手小指の汗をなめるようすを、右手ひとつでシャッターを切る。共栄共存のひとコマ。
(Canon6D ISO 100)

2023/5/8 琵琶湖に浮かぶ沖島 … 棚田の田植え(大津市)

春は遠景に霞がかかっていることが多く、この場所へは、爽やかに晴れた日を狙い撮影に向かう。ここは琵琶湖を見下ろす棚田、湖面には沖島が浮かんで見え、遠方に鈴鹿の山並み、画面左隅に伊吹山が霞んで見える。予想では、もう少し空気が澄んでいてくれるはずだったが、構図の良い場所で田植え作業をしていてくれたことが、とてもラッキーだった。この時期は風景が一気に動き出すため、自然環境写真には重要な季節。気象条件に恵まれた日は水田、雑木林、草地と爽やかな初夏のひとコマを狙い、風景撮影に奔走する。
(Canon6D ISO 100)

2023/5/1 「隠れなさい!」 … 危険を感じたマガモの親子(京都市)

マガモ親子の第2弾、今回のテーマは「隠れる」。鴨川の鳥たちは人慣れしていて、食事をする人たちの食べ物を狙い、トビやカラスが、低空飛行で旋回していたりもする。マガモの親鳥は、上空にトビやカラスを見つけると、雛を草むらに集め、身を隠すよう呼びかける。雛たちは、幼いながらも上空の動きをしっかりと目で追いながら、素早く親元に集合し身を隠す。僕との距離は10mほどで、隠れたようすも確認できたが、上空からはほとんど見えないだろう。しばらくすると親鳥は首を伸ばし、安全を確認し活動をはじめる。
(Canon6D ISO 100)

2023/4/24 うまれたヨ!全員集合 … マガモの親子(京都市)

桜並木も新緑に変わり、芽吹きはじめたケヤキやエノキも葉を開きはじめた鴨川で、マガモの親子に遭遇した。雛は9羽、体は小さいが元気いっぱい。「ピョピョ」と鳴きながら親鳥のそばを動き回る。親はあたりを警戒しながら、草陰近くの水面を移動し、トビやカラスが上空を旋回すると、雛を呼び寄せ、草むらの中に身を隠す。撮影者としては、全員集合の場面、天敵を警戒して隠れる場面、雛のアップ、風景の中の親子を狙うが、自由気ままな雛は、なかなか集まらず、動きも早く、思い通りには撮らせてくれない。
(Canon6D ISO 100)

2023/4/17 つまらない写真?でも … タンポポあぜ道の定点(栗東市)

タンポポあぜ道の定点、最初の写真は2月4日。普通、このつまらないあぜ道を撮ることはないと思うが、昨年の春、このあぜを見ていて、たくさんのタンポポが咲くことを知っていた。その時から、今年この定点を撮ることを決めていた。こんなあぜや野道が7か所ほどあり、この春は定点撮影に駆け回っている。ロゼット状で草紅葉していたスイバも花を咲かせ、オオジシバリ、ムラサキサギゴケ、コオニタビラコも咲きはじめ、あぜの草花が急激に動き出すのがわかる。今年は定点撮影を軸にした1年になりそうだ。
(Canon6D ISO 100)

2023/4/10 早くもオタマジャクシ … ニホンアカガエルの誕生(大津市)

春の水田、水たまりにたくさんのオタマジャクシがいた。ニホンアカガエルのオタマジャクシだ。アカガエルは、バレンタインのころ、雨の夜に産卵することが多く、冬の間は卵が雪に埋もれてしまっていることもある。暖かい日差しの下、キラキラ光る水の中で、元気に動き回るオタマジャクシを見ていると、春の訪れを実感することができる。アマガエルやトノサマガエルなど、他のカエルが産卵を開始するころには、小さなカエルになって上陸している。生存競争に巻き込まれないための早期産卵と考えられている。
(Canon6D ISO 100)

2023/4/3 我関せず … ヌートリアとカワアイサの関係は?(京都市)

桜が満開になった鴨川に、冬鳥のカワアイサがまだ居残っている。ペアで潜水を繰り返しながら餌探しをしているところへ、ヌートリアが悠々と泳いできた。両者には、面識があるのかないのか、どちらもが平然としていて「我関せず」といったようす。草食獣といる鳥類を見る時、いつも感じることだが、カワアイサは、ヌートリアが肉食獣でないことをなぜ知っているのだろう。肉食獣と草食獣の区別を、だれかに教えてもらうことはないはずで、本能で感じ取っているとしか思えない。そこのところ聞かせてほしい。
(Canon6D ISO 100)

2023/3/27 菜種梅雨 … ずぶ濡れアライグマ(栗東市)

ちょうど今ごろ、菜の花が咲くころに降る長雨を菜種梅雨と呼ぶ。雨は、光電管カメラが苦手とするところで、防水の心配はそれほどないが、湿度によるレンズの曇りが生じやすくなる。気温との関係もあると思うが、雨の日の写真は、ぼやけてしまっていることが多い。今回は、ずぶ濡れアライグマが、きれいに写ってくれていて、晴れた日のモコモコした姿よりも、一回り小さくなったように見えた。撮影時刻を見ると深夜の1時、森を歩き回る動物たちの足音も鳴き声も、雨音に消されているのだろうか・・・
(Canon6D ISO 100)

2023/3/20 旅の途中の露天風呂 … 水風呂のジョウビタキ(京都市)

せせらぎ沿いを歩いていると、すぐそばの草藪からジョウビタキが浅瀬に飛び降りた。水浴びするかな・・と、足を止めて見ていると、案の定。さすがに都会のジョウビタキ、人慣れしているようで、2mほどの距離で撮影していても、こちらを気にするようすはない。もうじき北帰するジョウビタキ、春の日差しの温かさに誘われて、水風呂に体を沈め、入念に体の手入れ。ここは、鳥たちのお気に入り露天風呂らしく、メジロやアオジもやってきて、場所取りの小さないざこざが発生する。ジョウビタキは強し・・・
(Canon6D ISO 100)

2023/3/13 舞い上がれ! … コハクチョウ離水助走(長浜市)

3月3日の雛祭り。山本山のオオワシも北帰し、コハクチョウも北帰がはじまっていた。「水面を走る」を狙い、早朝から撮影に向かう。普段は、夜明けと同時に水辺から餌場に飛び立つコハクチョウだが、北帰の時期になると、飛び立ち時間が遅くなる。その分、明るい光で撮影ができる。300mmレンズでF4、シャッタースピード1/1250、手持ち撮影。僕はオートフォーカスや連写は使用しない。多くのコハクチョウが飛び立ち、1羽が目立つようになるまで待ってからのワンショット。湖北の空へ舞い上がれ!
(Canon6D ISO 125)

2023/3/06 22時のランウェイ … スタイリッシュなホンドギツネ(栗東市)

キツネの足跡は、雪上で前足と後足が一直線に並ぶ。いわゆるモデル歩き。このキツネは、1月からはじめた光電管撮影に、時々登場してくれるが、ほとんどが帰り道の後ろ姿。全身をきれいに見せてくれたのは、今回がはじめて。スタイリッシュなフォルムが美しい。そろそろ夏毛に変わりはじめる季節。夏毛になると痩せたように見え、少々みすぼらしい姿になってしまうが、その変化が撮れることを楽しみにしている。この春、動物たちの行動に、どんな変化が見られるのか、思わぬワンショットに期待してしまう。
(Canon6D ISO 100)

2023/2/27 頭上を通過 … 迫力満点、コハクチョウの親子(長浜市)

滋賀県南部、北部ともに「晴れ」という天気を狙い、コハクチョウの飛翔だけを狙って湖北へ。今年は、飛来数が多いということで、その分シャッターチャンスも多いはず。着陸地点の田園で待っていると、伊吹山の麓から昇りはじめた日が、琵琶湖対岸の雪山を赤く染める。それと同時に朱色に染められたコハクチョウの群れが、次々にこちらへやって来る。大群の飛来は早朝にほぼ終えるが、家族単位の小さな軍団は10時ごろまで頭上近くを飛翔してくれる。7時から11時までたっぷり撮影し帰路、もうすぐ北帰行。
(Canon6D ISO 100)

2023/2/20 顔が凍る … テングチョウの成虫越冬(栗東市)

テングチョウの越冬を見つけたのは、2月13日。「ここに雪があったらな・・」と思いながらも、今年はもう降らないだろうとあきらめていた。ところが、その翌々日2月15日、天気予報は大はずれ。朝目覚めると、あたりは銀世界。雪が解けてしまう前に撮らなければと、大慌てで着替え出発。あたりが明るくなるまで車内で待機して、7時から撮影開始。テングチョウのようすをそっと覗き込んでみると、顔に雪氷。シャッタースピードは1秒前後、風は無風。引いたり、寄ったり、貴重なシーンを丁寧に撮影。
「生き物はすごい!」
(Canon6D ISO 100)

2023/2/13 目線すれすれ … 湖北のコハクチョウ(長浜市)

今年は、日本海側の大雪の影響か、琵琶湖周辺で過去最高の飛来記録になったようだ。湖北でのコハクチョウ撮影は10年ぶり、まだフィルムカメラの時代だった。これまでに、泥の中での採餌写真がなかったため、狙い通りのワンショット。この日は、昼前から日没後のねぐら入りまで観察し、長浜で泊まり。翌日は、昨年の長浜盆梅展で開催された俳句コンテストで、妻の句が夏井いつき先生から特選をいただき、会場に展示されているとのことで記念撮影に。今回の宿泊はその時の副賞、無料宿泊チケット。
その句がこちら 『さみどりのまだ固き寂聴の梅』
(Canon6D ISO 100)

2023/2/06 雪を乗せて … ホソミオツネントンボは、成虫で越冬中(栗東市)

先日の雪の日、ホソミオツネントンボの越冬場所を散策。今年は8匹のホソミオツネントンボの越冬を確認していて、それぞれを順番に回る。順番に回るといっても、100mほどの範囲に8匹が越冬中で、その中で雪をからめて撮影できる個体を探すことになる。この日、8匹中6匹は完全に雪の中に埋もれてしまっていて、撮影できたのは2匹。「冬越し」と聞くと、雪の当たらない物陰に、隠れているように思われがちだが、ホソミオツネントンボは、風雨が直撃するような場所にいる。きゃしゃな体からは想像できない、力強さがある。
(Canon6D ISO 100)

2023/1/30 雪の晩 … 深夜のテン(栗東市)

ここ数日、栗東市は雪の中。雪の日には、越冬中の生き物や、風景の定点、雪の中の生き物、光電管カメラの雪かきなど、普段よりも忙しくなる。あちこち手際よく回らなければならないのだが、重たい雪で、しなった竹や倒木が山の道をふさいでいて、思うようには進まない。光電管の雪かき後、撮れた写真を見てみると、可愛いテンのワンショット。雪の日は、雪がレフ版になり露出が大きく変わる。それを見越して、光電管カメラの露出を前もって雪用に変えておかなければならない。登場は深夜の1時30分。
(Canon6D ISO 100)

2023/1/23 一番客はテン … 2023年、光電管はじめ(栗東市)

今年最初の光電管無人撮影、一番客はホンドテン。まだテスト段階で、これからアングルやライティングの調整をして、本格的な撮影に入る。僕が初めて光電管撮影をしたのが27歳のころ。以前は、山麓でテンが写ることは稀だったのだが、ここ数年は、タヌキよりも頻繁に写るようになってきた。アライグマやハクビシンなどの侵入もあり、山にくらす哺乳類の生息分布も、年々変化しているのが分かる。今回はいつもより画角を大きく取り、複数の動物が写り込むことを期待している。さて、どんな顔ぶれが来てくれるかな・・・
(Canon6D ISO 100)

2023/1/16 必需写真 … コナラを食べるカケス(栗東市)

月刊誌では、そろそろ秋号の企画がはじまる。秋号のテーマとしては、紅葉、ひっつき虫、鳴く虫、アカトンボなどがあり、中でもドングリをテーマにした企画が一番多いように感じる。そんな時、必要とされる写真は「ドングリを食べる生き物たち」リス、ノネズミ、シカなどの哺乳類と鳥類では「カケス」がよく使われる。そんな理由で、チャンスがあれば集中して撮るようにしている。カケスはドングリを見つけると、3〜4羽で訪れ、次々に丸呑みにしていくので、撮影は簡単だが、撮影地が暗いことが課題になる。
(Canon6D ISO 100)

2023/1/9 落葉めくり … オオムラサキとゴマダラチョウ(栗東市)

今シーズン最初の、エノキの木の落葉めくり。チョウに詳しいS氏と二人で、エノキの木を巡る。山にエノキはたくさんあるが、作業しやすい比較的平らなところにある木を狙う。エノキの葉で夏に生まれ、秋を過ごした幼虫は、木の葉が落ちるころ、幹を伝い地面に降り、落ち葉の下に潜り込み冬を越す。そんなわけで幹回りに積もる落ち葉をめくると、幼虫が発見できる。発見できるのは、オオムラサキとゴマダラチョウ。左がオオムラサキ、右がゴマダラチョウ、背中にある突起の数が違う。1枚の葉で仲良く越冬中。
(Canon6D ISO 100)

2023/1/1 謹賀新年

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
35年ほど前、北海道一人旅での出会い。 霧に包まれた草原の、どこまでも続く一本道を車で走っていた時、遠くから駆けてきて、なぜかピタッと足を止めたエゾユキウサギ。 こちらも車をそっと止め、ゆっくりゆっくり窓を開けて、じわじわとレンズを出してワンショット。 数多い作品の中でも、お気に入りの1枚。 皆さまにとって、心静かな1年になりますように…