2010/12/27 オキナワウラジロガシ(久米島産)

クリスマスイブに久米島からドングリが届いた。箱を開けたとたん、その大きさに思わず笑ってしまった。奄美大島以南の琉球列島に分布している日本固有種のドングリだ。実の大きさは世界最大級で、写真の大きい方のドングリは殻斗(帽子)を含めて49mmもある。撮影を終えて、早速鉢に植えてみた。来春の発芽を楽しみに・・・ まずはこの冬、根が出てくるのを今日か明日かと待ちわびる日々が続く。

2010/12/20 ツキノワグマの糞(高島市)

高島市の山中には、昔山仕事のために付けたと思われる、人一人くらいが歩ける小さな道が残っている。今はほとんど人も入らなくなった道を歩いていると、コナラの木にクマが腰をかけてドングリを食べた跡や、ミズキの木を登り降りした爪痕などがくっきり残っていたりする。そんな山道で、まだ新しい糞を見つけた。分解してみると木の実だけを食べていたようで、ほとんど臭いはなく、全部伸ばしてみたら合計で60cmほどの長さがあった。

2010/12/13 ミイロアミタケ(栗東市)

いつものように林道を散策していたら、なにやら色鮮やかなキノコが目に留まった。キノコに関してはほとんど知識がないが、同心円状の模様が美しかったのでとえりあえず撮影しておいた。調べてみるとミイロアミタケのようで、サルノコシカケ型のキノコの中では美しさに秀でていて、ミイロは「三色」の意味とも書かれていた。とても硬く食用には適さないとのことだが、煎じて飲んだら体が綺麗になりそうな予感がする。

2010/12/6 草紅葉・くさもみじ(大津市)

紅葉狩りというと、普通はモミジやイチョウといった木々の彩を楽しむものだが、あぜや野道の野草たちもこの時期とてもきれいに色づいていたりする。時雨に濡れる棚田を歩いていたら、山すそに小さな虹が現れた。草の紅葉、木々の紅葉、そして虹、本格的な冬を目の前にした里の風景に彩が重なった。ちなみに「草紅葉」は季語になっているようで、ここらで一句ひねってみてはいかがでしょうか・・・

2010/11/29 チューリップ水栽培(栗東市)

小学生のころ、ヒヤシンスやクロッカスの水栽培を経験された方も多いのではないだろうか。今の時期ホームセンターなどでも、球根と水栽培ポットが同じ棚に置かれていたりする。たいした知識もないのに、この冬はチューリップの水栽培に挑戦してみることにした。ネットのサイトでもチューリップの水栽培に関してはほとんど情報がなく、うまく育つか見当もつかないが、つい先日根が出はじめた。

2010/11/22 消滅飛行機雲(草津市)

一般に飛行機雲というと、飛行機が青い空を通過するあとを追うように、雲が白い帯になって線を描くものだが、その反対に雲が筋状に消滅することがある。これは飛行機から出されるガスの熱により、雲の水分が蒸発することなどいくつかの要因があるらしい。雲の撮影で空を眺めていても、なかなか出会うことのできない現象なので、運転中の車を急いで止めて大慌ての撮影になった。

2010/11/15 琵琶湖の光芒と水鳥たち(守山市)

今年も琵琶湖に、冬の水鳥たちが集りはじめた。水鳥たちは夕方になると、安全な場所で夜を過ごすため、次々にヨシ原周辺に集まってくる。しかし、ねぐらに帰るのは人も同じで、バス釣りなどのレジャーボートも次々と港へともどってくる。そのたびにモーター音に驚いた水鳥たちが一斉に飛び立ち、人と鳥との攻防がしばらく続く。日が落ちて琵琶湖が闇に包まれる時、やっと水鳥たちは落ち着いて休むことができる。

2010/11/8 スダジイの実(京都市)

ドングリのなかまで「シイの実」として親しまれているのがこの実で、殻が割れるくらいまで炒って軽く塩をふると美味しくいただける。スダジイは身近な寺社や公園などにも植えられているため、この季節になると秋の味覚を楽しもうと、シイの実拾いの人たちをたくさん見かけるようになる。スダジイは受粉してから2年かけて実が熟すので、枝先には1年目の幼いドングリも同時に見ることができる。

2010/11/1 獲物に向かうカワセミ(甲賀市)

生物多様性条約会議(COP10)の中で、生物が人類にもたらす恵のひとつとして、生物の仕組みを取り入れた製品開発などが取り上げられた。カワセミが魚を狙い、水中に飛び込む瞬間の姿をヒントにデザインされた500系新幹線などがその例である。車両の先端をカワセミのくちばしのように伸ばすことで、空気抵抗が減少しトンネルに入るときの衝撃音をかなり抑えることに成功したらしい。

2010/10/25 ナラ枯れ(野洲市)

今年、各地でツキノワグマが人家近くに出没するというニュースが流れている。そのひとつの要因として「ナラ枯れ」が挙げられている。ナラ枯れとはドングリの成るコナラ、ミズナラ、クヌギなどの幹にカシノナガキクイムシという昆虫が入り込み、樹木全体を枯らしてしまう現象で、滋賀県の山々にもその被害が広がってきている。被害にあったコナラの枝先には成長途中のドングリがたくさん付いたまま枯れてしまっていた。

2010/10/18 アサギマダラ(京都市)

秋の七草のひとつ、フジバカマにアサギマダラがきていた。アサギマダラは、気温が上がると北へ、下がると南に長距離を移動すると考えられているが、確かなところは不明で各地でその移動について調査が行われている。出会ったチョウは、南下する旅の途中でお腹がすいていると見えて、カメラのレンズを体に触れるほど近づけても、気にとめることもなく吸蜜していた。

2010/10/11 滝に射しこむ光(甲賀市)

陶器店の並ぶ信楽の町中を抜け、川沿いに細い林道を行くと「鶏鳴の滝」と呼ばれる高さ6mほどの滝がある。僕が若いころヤマセミを撮影していた大戸川の上流にあたり、この日も滝までの途中で、渓流に生える木の枝にとまっているヤマセミに出会った。駐車場から少し歩いて滝まで行くと、木立から漏れる日の光が舞い上がる水しぶきに反射して、幻想的な光の帯を創り出していた。

2010/10/4 雨あがりのジョロウグモ(栗東市)

細かい秋雨が上がったあと、林道のあちこちに張られているジョロウグモの巣に、小さな水滴が無数に散りばめられていた。それは見る角度によって白い光になったり、虹色の光になったりする。僕が撮影したこのクモはまだ幼いジョロウグモだ。これから成長するにつれてお腹が膨らみ体の模様も変わってくる。ジョロウグモは、秋の訪れを告げる生きものの代表といえるかもしれない。

2010/9/27 冬虫夏草(大津市)

昆虫などに寄生し、その体内で菌糸を成長させて、やがて寄生した昆虫の体を突き破りでてきたキノコを冬虫夏草と呼ぶ。僕は冬虫夏草についてはほとんど知識がないのですが、寄生される昆虫としては、セミ、トンボ、アリ、ハエなどがあり、写真のようにハチにから出たキノコを「ハチタケ」と呼ぶそうです。地面に膝つきながら探さないとなかなか見つからないそうですが、カブトムシやクワガタムシから突き出したキノコが見つければ、それは新種だそうです。みなさんも林の下を探してみてください。

2010/9/20 シシクワズ(草津市)

水稲のシシクワズは芒(ひげの部分)が長く、イノシシの食害を受けにくい品種だ。味は普段食べている米には劣るらしいが、家畜の飼料として活用できるのではないかと考えられている。また品種改良をして、イノシシによる食害を受けにくい水稲を作る研究材料にもなっているとのことで、シカやイノシシの食害に悩まされている山間部の農家さんたちにとって、心落ちつく解決策がみつかると良いな・・と思っている。

2010/9/13 ヒョウタン収穫(三重県伊賀市)

今年春から生長を追いかけていたヒョウタンが収穫の時期をむかえた。苗の水やりから撮影の手伝いをしてくれた少年が、ひと抱えもあるような大きなヒョウタンが数個できた。それでも今年は猛暑続きで、例年に比べると実の質としてはあまり良いできではないそうだ。このヒョウタンは水にしばらくつけて腐らせてから中身を抜き取り、乾燥させ工芸品へと加工していくことになる。

2010/9/6 四万十川の朝(高知県)

四万十川を撮りたくて深夜自宅を出発した。初日、沈下橋などを撮影しながら下流から上流へ車を走らせ、西土佐にある宿に宿泊。翌朝まだ暗いうちに宿を出て、今度は上流から下流へ、夜明け前の四万十川を狙ってみた。フィルムの特性で、肉眼で見るよりも「青」色が強く出た作品になった。PHP出版の本に、自然写真家たちが撮影した自然界の「青」を集めた「青の本」という作品集があり、この写真はその本の中に見開きで掲載されている。

2010/8/30 綿(草津市)

苗から生長を追いかけていた綿が結実し、先日あたりから割れはじめ白い綿が目立つようになってきた。綿の花は一日花で朝に開き夕方には閉じてしまうのだが、咲きはじめたときは白色や黄色の花が、閉じるころには薄いピンク色に変わるおもしろさがある。写真の綿は洋綿系の綿で上向きに実が割れるが、すぐ横で栽培されている和綿系の実は下向きに実が割れていた。この綿毛の中にアサガオの種子と同じくらいの大きさをした種子が30個ほど入っている。

2010/8/23 茅葺きの民家(京都市)

僕がよく撮影に通う滋賀県の山間部から京都へ抜けるには、くねくね道を走り一山越えることになる。その途中に小さな山里集落があり、今ではあまり見かけなくなった茅葺き民家が数軒残っている。まだ夜が明けきれぬころ、このあたりを通ると、釜戸に火が入っているのか屋根のすき間から煙が出ていたりして、懐かしい田舎のにおいが体に入ってくる。僕が自然写真をはじめた原点がこのにおいにあるのかもしれない……

2010/8/16 ハラビロカマキリ(草津市)

公園を歩いていたら、頭上からアブラゼミの「ジジジジジー」という鳴き声が聞こえてきた。アブラゼミが何かに捕まったときの鳴き声だ。すぐ脇のケヤキの木を見上げてみると、ハラビロカマキリがアブラゼミを後ろから羽交い締めにしていた。アブラゼミがどんなに羽を震わせて逃げようとしても、ハラビロカマキリの鎌は羽の付け根を押さえつけて離さない。のどかな公園内でも、自然界の厳しい掟を目撃することがある。

2010/8/9 ヒマワリ(栗東市)

ヒマワリの花のつくりをご存じですか? この写真をよく見てください。外側の黄色い花びらは舌状花とよばれ、オシベとメシベは退化しています。そして、その舌状花に囲まれた中に、5弁の花びらをつけた、たくさんの筒状花が咲きます。筒状花は外側から中心に向かい咲いていきます。黄色く点在しているのはオシベで、オシベのあとから茶色のメシベが出るので、先に咲いた円の外側部分は褐色に見えます。黒く見える中心部分はまだ開花していない状態です。この筒状花たちがすべて種子になるのです。

2010/8/2 エンマコオロギ脱皮(栗東市)

タデの葉の上でエンマコオロギの8齢幼虫が、1時間程全く動くことなくじっとしていた。エンマコオロギは卵から孵化すると9回脱皮を繰り返し成虫になるが、この写真は8回目の脱皮のようすで、あと1回脱皮すると成虫になる。じっとしていたコオロギが体を前後に震わせはじめると、やがて背中が割れて脱皮がはじまった。脱皮が終わり体が固まると、脱いだ殻をきれいに食べてしまった。

2010/7/26 ベニイトトンボ(甲賀市)

ベニイトトンボは、滋賀県では長年生息が確認されていなかったのだが、数年前に甲賀市の小さな池でその生息が確認された。まわりにもいくつかのため池はあるが、なぜこの池だけに生息するのか答えは出ていないようだ。僕自身は、コウホネをどこからかこの池に移植した際に、ヤゴが付いてきたのではないだろうかと考えていて、飛翔力があまり強くないのでこの場所に定着しているのではないだろうかと予測している。

2010/7/19 アキアカネの避暑(栗東市)

水田で羽化したアキアカネは暑い夏の間、涼しい山頂へ移動して秋が来るのを待つ。アキアカネはアカトンボの代表格だが、この頃はまだ未成熟で体は赤くない。涼しい山頂でも日差しが強くなってくると尾を真上に立て、体に当たる光の面積を小さくし、体温が上がるのを防いでいる。ちなみに、画面中央にある小さな山は「近江富士」とよばれる三上山だ。

2010/7/12 チューリップの種子(栗東市)

チューリップは普通球根で育てるものですが、交配が成功するとご覧のように種子ができます。種子は花が咲き終えたあと2ヶ月くらいして熟します。違う品種どうしで交配するので、この種子からどんなチューリップができるかは育ててみなければわからないのですが、世界でたった一つのチューリップを楽しむことができる可能性があります。ただし、花が咲くまでには5年ほどかかるそうで、写真での成長記録ができあがるのは、まだまだ先のことになりそうです。

2010/7/5 ルピナスの小川(北海道十勝三俣)

僕が北海道撮影に出かけるとき、糠平湖畔を拠点にあちこち動き回ることが多い。その糠平湖から国道273号線を三国峠に向かう途中、このルピナス群生地がある。時々エゾシカなどが出現してくれるので、たくさんのカメラマンが立ち寄り、各々が作品作りに夢中になっている。ここ数日、湖国滋賀は蒸し暑い日が続き、少し動いただけでもじわっとした汗が出てくる。爽やかな北国の風が恋しい季節になってきた。

2010/6/28 四つ葉のクローバー(栗東市)

雨の撮影を終えて、車に乗り込もうとしたその足もとに、四つ葉のクローバーを見つけた。急いで撮影しないと葉の上の小さな水晶玉が壊れてしまいそうで、あわててローアングル用の三脚を出し、濡れた地面に膝をつき、大きな体を小さく縮めて撮影した。懸命に探しても、なかなか見つからない四つ葉に空からの宝石付き。なにか良いことあるかな・・・

2010/6/21 雨の日のモンキチョウ(栗東市)

ヒメジョオンの群生地に、霧雨のような細かい雨が降っていた。花や葉にはたくさんの水滴が付着していて、雨宿りをしているモンキチョウの体にも水滴が水玉になってくっついていた。カメラを持って近づいてもまったく逃げるようすはなく、すぐ間近で水玉のようすを見ることができた。羽の縁や触角に水玉が並び、眼、足にも今にも転がり出しそうなまんまるの水玉がバランスよく乗っかっていた。

2010/6/14 イチョウの芽生え(栗東市)

秋にたくさんの実を落とすイチョウ。ちなみにイチョウは雌雄異株なので、実がなるのは雌の木ということになるが、ギンナンの悪臭に悩まされる人もいれば、味覚としてたくさん拾っていく人もいる。そんな中で誰にも気づかれず冬を越したギンナンからは、今の季節新しいイチョウが誕生しはじめている。発芽して葉を広げた瞬間から一目でイチョウと分かる。そのミニチュアイチョウはなんとも愛らしい。

2010/6/7 ハマヒルガオ(守山市)

日本全土の海岸砂浜に生育するハマヒルガオは、本来海岸性の植物なのだが、なぜか淡水の琵琶湖岸に群生している。太古の昔、琵琶湖が海とつながっていたときの名残ではないかといわれている。保存会などの活動でこの砂浜が守られてきたことが、群生地として美しい風景を作り出していることは理解できるのだが、そもそも広い琵琶湖でなぜここだけに生育していたのか、とても不思議な気がする。

2010/5/31 カジカガエル(大津市)

渓流の音に重なって、「ヒュヒュヒュヒュヒュ・・・」と鳥のような虫のような声が聞こえてくる。声の主を捜そうとその方向に足を進めると、ぴたっと声は止まる。その場で身をかがめて、じっと待っていると再び声が聞こえてくるが、体色が石や岩と保護色になっているので、なかなか姿を見つけられない。鳴いている写真が撮りたくて、僕がとった行動は口笛で鳴き声をまねながら近づく方法。今までの最短記録は30cmだ。

2010/5/24 エンマコオロギ1齢幼虫(栗東市)

エンマコオロギといえば、日本のコオロギの代表格。秋、コロロロロ・・・と草原のなかで鳴く声は誰もが耳にしていることだろう。成虫になると体長3cmほどになるが、卵から孵化したばかりの1齢幼虫は3mmほどの大きさしかなく、じっと動かなければ地面の砂利と同化して、なかなか見つけられない。歩いている姿はアリと見間違うが、一人前に10cmくらいのジャンプ力があるのには驚かされる。

2010/5/17 ヌスビトハギの芽生え(栗東市)

ヌスビトハギはひっつき虫のなかま。ひっつき虫といっても、もちろん昆虫ではなく植物である。秋になると、表面に細かいかぎ状の毛が密生する実ができて、それが服やズボンにくっつくのである。最近はアレチヌスビトハギという帰化植物のほうが目に付くようになり、林縁部でひっそりと生育している姿を見つけるとちょっと嬉しくなる。芽生えたばかりの柔らかい葉を、シカに食べられてしまうことも減少の原因かもしれない。

2010/5/10 コナラの雌花(栗東市)

コナラはドングリの木の代表格。春、新緑の芽吹きとともにその葉先に雄花と雌花をつける。雄花は長く垂れ下がるので一見して目に付きやすいが、雌花は1〜2mmほどなので注視してみないと見落としてしまう。この小さな雌花が受粉、結実し、秋に向けて大きなドングリへと変身していくのである。あとひと月もすれば、枝先にはたくさんのミニチュアドングリが見られることだろう。

2010/5/3 レンゲ畑(栗東市)

レンゲたちが競い合うように可憐な花を咲かせていた。一般的な植物は土の中の窒素分を根から吸収して栄養にするが、レンゲなどのマメ科の植物は大気中の窒素を取り込み養分にすることができる。レンゲはその根に根粒をつくり窒素をためておくので、田植え前に土と一緒に混ぜ込むことで、田んぼの土に窒素が入り肥料の節減に役立つのである。このレンゲ畑もあと数日で、水田に生まれ変わるはずだ。

2010/4/26 田植え(大津市)

田んぼに水が引かれ、田植えがはじまった。眠っていた風景が急に動き出し、流れる風の臭いも変わってきた。野道にはカンサイタンポポが並び、あちらこちらから「キリリ、コロロ、カララ」とシュレーゲルアオガエルの声が聞こえてくる。ちょっと気取った帽子をかぶり、可愛いバスケットに早苗の束を入れた農家さんに「写真撮らせてもらっていいですか?」と尋ねると、快く応じてくれた。

2010/4/19 オニグルミ芽吹き(草津市)

「クルミ」と聞くとリスなどがよく食べるので、山の中にありそうに思うが、琵琶湖にもあちこちにオニグルミの木が生育している。琵琶湖周辺の縄文遺跡の貝塚では、食料後の殻が層になって発見されているという。昨年の葉が落ちた葉痕が猿顔にみえるので、芽吹きのころは猿が羽冠をかぶったように見える。

2010/4/12 あぜ塗り(東近江市)

田んぼのあぜは、モグラやザリガニが小さな穴が開いただけでもそこから水が漏れてしまい、あぜそのものが大きく崩れてしまうこともある。水と土を鍬でこねながら塗りつけて、平らに撫でていきながら、休耕中に荒れたあぜを補修していく。ぬかるみの中で腰をかがめて繰り返す作業は、かなりの重労働であるに違いない。農家さんの仕事ぶりにはいつも頭が下がる思いがする。

2010/4/5 キレンジャク(草津市)

大きさは20cmほどで冬鳥として日本へ渡ってくる。頭におしゃれな冠羽があり、顔の辺りが薄いピンク色にも見えてなかなか愛らしい鳥のひとつだ。琵琶湖周辺のヤドリギの木の実を数羽の群れでついばんでいる姿をよく見かけるが、このときは芽吹いたばかりの柳の花芽を盛んに食べていて、僕の頭上を行ったり来たり。動きの落ち着いたところで、ポートレートを1枚撮らせてもらった。

2010/3/29 マヒワ(栗東市)

スズメを一回り小さくしたくらいの大きさの鳥で、秋になると北から渡ってきて里山で群れていることが多い。 僕の撮影フィールドにはヤシャブシの木がたくさんあり、春先まで残っている実をついばんで、その中にある種子を食べている姿をよく見かける。 春になり旅たちの前なのか、食事に夢中になっているときは警戒心が薄れ、すぐそばで可愛いモデルになってくれる。

2010/3/22 ブナの発芽(高島市)

豊かな森の象徴ともいわれるブナの木、高さは30mほどにもなる。僕が見つけた芽生えはまだ2cm弱、すぐ脇にそびえ立つ親のような大木になるには、いったいどれほどの時間がかかるのだろうか? 僕の命があと100年もあれば、その成長を追いかけてみたいところだが・・・ 最近は温暖化の影響で、ブナの生育範囲が北に移動しているらしい。生まれたてのブナの未来が少々心配になってくる。

2010/3/15 ナズナ(栗東市)

昨日はホワイトデー・・・ だからというわけではないのだがハート型の実を撮影してみた。この実を指でつまみ、茎から取れてしまわないくらいに少しずつ下にずらし、くるくる回すとペンペンと音がする。僕は子供のころ、このハートがナズナの葉だと思い込んでいた。さて、今回はナズナの種子を撮影したくてハートを割ってみたが、ホワイトデー皆さんのハートは固く結ばれましたでしょうか・・・

2010/3/8 セイヨウミツバチ(蒲生郡)

早春とはいえ、まだ肌寒いナノハナ畑で、働き者のミツバチが盛んに花粉を集めていた。ナノハナもほころび始めた花がちらほらだったので、少し開いた花の前で待っていると、入れ代わり立ち代わりミツバチがやってきた。写真のミツバチはセイヨウミツバチで体が黄色く見えるが、ニホンミツバチは体が黒く見えるので区別できる。

2010/3/1 動き出したナナホシテントウ(守山市)

数日前、春を通り越して初夏のような陽気になった。早春から花をつけるオオイヌノフグリを撮影しようと地面に顔を近づけたら、まわりにたくさんのナナホシテントウがいることに気がついた。忙しく動き回るテントウムシの中には早くも恋の季節を迎え、春を独占しているように見えるカップルもいた。オオイヌノフグリ撮影のはずが、いつの間にかテントウムシ撮影になってしまった。

2010/2/22 白梅(栗東市)

寒さの中にも時折春の気配が迷い込む季節になった。野道にはオオイヌノフグリが咲きはじめ、白梅がちらほらと咲きはじめたなと思っていたら、夜の間に綿のような柔らかい雪が舞い落ちてきたらしい。朝日の中でアングルを決めるのに迷っていたら、あっという間に解け出してきて、大慌ての撮影になってしまったが、季節の変わり目を感じさせてくれる1枚になった。

2010/2/15 コハクチョウの親子(湖北町)

新雪に覆われた田んぼをコハクチョウの親子が歩いていた。灰色の体をしているのが幼鳥だ。雪に足を取られながら、大きな体を左右に揺らすように「てくてく歩く」という表現がぴったりな歩き方だ。撮影者が僕一人だったせいか、どんどんどんどん近づいてきて、最初は親子4羽が画面に入っていたが、最後にはたった1羽で画面いっぱいになってしまうほどのところまで近寄ってきた。寒さも忘れ、なんとも穏やかな時間だった。

2010/2/8 たくさんの顔・アジサイ(栗東市)

梅雨時のアジサイは美しく、うっとうしい雨の日でも足を止めて、その花をめでる人も少なくないだろうが、冬のアジサイに注目する人はほとんどいないと思う。しかし、これを知っていると冬のアジサイを観賞する楽しみがひとつ増える。近くに寄って見ると、たくさんの顔が並んでいることに気づく。これは、葉が落ちた痕だ。あの子の顔、この子の顔、可愛い顔を見つけて欲しい。

2010/2/1 タンチョウ(北海道釧路市)

「阿寒タンチョウの里」で夜明けを待った。朝日に照らされダイヤモンドダストが輝いているのを見て、あわててカメラを持って車外へ出た。すると素手で持ったカメラは、一瞬で氷の塊のように冷たくなり、指がはりついてしまった。あとから今朝はマイナス20℃近いと聞かされ、北国の厳しさを初めて体験したことを覚えている。それでもタンチョウ撮影地には熱心なカメラマンがたくさん訪れ、タンチョウが飛んだり跳ねたりするたびに、シャッター音が雪原にあふれていた。

2010/1/25 雪上の足跡(栗東市)

林道には1cmほどの積雪があり、動物たちの足跡がたくさん残っていた。積雪の量や雪の硬さで足跡の残り方が違うので、爪の形まで残る足跡はそれほど多く見ることはできない。この写真にある足跡は上がノウサギで、大きい足跡が後脚、小さい足跡が前脚になり、画面右に進んでいることになる。ウサギの跳ね方は僕たちが跳び箱を飛んだ時のようで、ついた前脚の前方に後脚がくる。もうひとつのひづめの足跡はニホンジカ。ウサギとシカが並んで歩いていたわけではないだろうが・・いやいや何か話しながら歩いていたのかもしれない。

2010/1/18 霜柱(栗東市)

林道脇で大きな霜柱を見つけた。霜柱は地中の温度が0℃以上で、地表の温度が0℃以下の時にできるらしい。子供のころはあちこちに出現して、それをザクザク踏みながら歩くのが大好きだったが、最近はめったに見かけなくなった。できやすさは土の粒子の大きさにも関係するらしく、舗装道路が増えたことも霜柱減少の原因なのかもしれない。子供時代であればザクッと踏みつけるところだが、崩さないよう気づかいながら三脚を立て、吐く息で溶かしてしまわないよう息を止め、そっと撮影させてもらった。

2010/1/11 ナナホシテントウの冬越し(栗東市)

この季節、冬越しする生きもの探しがおもしろい。たとえば落葉をめくっての生きもの探し。春になるとちょこちょこと忙しく歩き回るテントウムシも葉の裏で足を縮めてじっとしている。背中の星が二つや四つのナミテントウは集団で冬越しすることが多いが、ナナホシテントウは単体か、ほんの数匹で冬越しするらしい。冬越しといっても春まで動かないわけではなく、暖かい日には時々目を覚まし活動する。

2010/1/4 雪のブナ林(高島市)

ブナやトチの大木が並ぶこの森に、四季を通して撮影に出かけている。春から秋のかけては、森の入り口まで車で簡単に行けるのだが、雪の季節には麓の集落に車を止めて、雪道を歩いて登ることになる。僕はリュックにカメラを詰め込んで、渓流釣り用の腰まである長靴を履き撮影に向かう。誰も歩いていない新雪をかき分けて歩いていると、この森を独り占めにしたような気分になってくる。