2022/12/26 三役そろい踏み … 冬のサギ3種、アオ、ダイ、コ(京都市)

京都鴨川の冬は、水鳥が面白い。特別珍しい鳥がいるわけではないが、珍しい鳥にはほとんど興味のない自分にとっては、物語になりそうな場面が、あれこれ撮れることが楽しい。両河岸には常に人がいて、ジョギング、サイクリング、ウォーキングと静かな河岸を楽しんでいる。鳥たちも、そんな光景に慣れていて、都会の鳥ならではの寛大さがあり、少々のことでは、びくともしない。ダイサギが魚を狙っていると、どこからかアオサギが飛んできて、それを見ていたコサギが駆け足でそこに参戦。さて魚を捕るのは誰?
(Canon6D ISO 100)

2022/12/19 冬の木の実 … エノキの実を食べるイカル(京都市)

京都の鴨川沿いには、あちらこちらにエノキの大木がある。秋には鮮やかな黄色に黄葉するため、遠くからでも、そこにエノキがあることが分かる。そんなエノキも葉を落とし、黒色の実だけが残されている。イカルはエノキの実が大好物、群れでやって来て、一斉に食べはじめる。真下にいると、くちばしで実を割る音がパチパチと聞こえてきて、食べかすがパラパラと落ちてくる。根元に落ちた葉の裏では、オオムラサキやゴマダラチョウが、幼虫の姿で冬越ししている可能性がある。そろそろ落ち葉めくりの季節到来。
(Canon6D ISO 100)

2022/12/12 生きものからの挑戦状 … ホソミオツネントンボを探せ(栗東市)

先日、ほるぷ出版から「生きものからの挑戦状・春の生きものをさがせ!」が発売された。僕が普段、野山でやっている生き物探しを、本の中で体験してもらうという作りになっている。企画の提案から発売まで、たった1年で作り上げた本で、現在も夏、秋、冬を同時進行で作成中、来年3月までには4巻すべてが発売される。昨日、ホソミオツネントンボの冬越しを撮影してみた。
どこにいるか分かりますか? この写真は、難易度としては中程度。今回の本では大きな画面で多種類の生きもの探しを、楽しむことができます。
(Canon6D ISO 100)

2022/12/05 アカトンボ … なのにキトンボ(大津市)

アカトンボなのに、その名はキトンボとは、これいかに。多くのトンボたちが姿を消すこの季節、寒さに強いキトンボは、冬の水面を元気よく飛び回る。それでも、やはり体温が下がるのか、時々日当たりの良い草地や倒木にとまり、日向ぼっこをしている。あたりでは、ホソミオツネントンボやホソミイトトンボが、冬越し準備をしている姿を見かけるが、キトンボはもうじき命を終える。今年こそは、オツネントンボの冬越しを見つけてやろうと、倒木の隙間をのぞき込んだりしまくった後の、疲れ果てた休憩でのひとコマ。
(Canon6D ISO 100)

2022/11/28 貴重な風景 … 里の秋(甲賀市)

本を作るときに、口絵や生き物の生息環境として、豊かな自然と季節感のある写真が必要になる。一昔前は、すこし農村部へ行けば、どこにでも見られた風景だが、今では多くの農地が放棄され、背景にはシカよけのフェンスがずらっと並んでいる。先日撮影したこの風景には、赤や黄色に色づいた紅葉の木々、ススキの草原、晩秋の水田、民家が写り込んでいて、「里の秋」を1枚で見せることができる。僕はこんな風景を「絶滅危惧地」と呼んでいて、「春の小川」などはその筆頭、普段の生き物探しより、はるかに難しい。
(Canon6D ISO 100)

2022/11/21 もうすぐ冬越し … ゴマダラチョウの幼虫(大津市)

大津市在住Sさんの自宅庭に、5mほどの高さのエノキがある。その葉に、冬越し間近のゴマダラチョウの幼虫がいた。葉は黄色く黄葉しはじめていて、もうじき葉を落とす。幼虫は葉が落ちてしまわないように、葉の付け根を口から出した糸で、しっかり止めている。緑色の幼虫は葉が落ちるころ茶色に変身し、枝から幹へ移動し、幹をつたって地面に降りる。そして幹の根元に積もった落ち葉に潜り込み、その裏側で冬を越す。積もった落ち葉を、一枚一枚めくりながら幼虫探しをすることが、冬のフィールド遊びになる。
(Canon6D ISO 100)

2022/11/14 琵琶湖の朝 … 比叡山と漁船、水鳥の大群(草津市)

琵琶湖北部へ向かう予定で、湖岸道路に出てみると、靄のかかった湖面に、水鳥の大群と漁船、頭だけ見える比叡山。これぞ「The琵琶湖」の晩秋風景、寄り道して、撮影開始。漁船がなければ、素通りしていた風景だが、この日はなぜか、たくさんの漁船が沖に浮かんでいて、アクセントになる。対岸の街並みを、靄が隠してくれているのも、撮影を決めた理由の一つ。漁船の動きが気になるのか、いつもはのんびり眠っている水鳥たちも、活動的に動き回る。寄り道のつもりが気づけば2時間経過。北部行きは、中止。
(Canon6D ISO 100)

2022/11/07 お腹パンパン … ヒメカマキリ(栗東市)

普段は、見かけることがまれなヒメカマキリ。体が小さく、オオカマキリなどにくらべると警戒心も強い。偶然見つけたとしても、カメラを近づける前に、草陰や藪の中に素早く逃げ込まれることが多く、なかなか思うようには撮影させてくれない。そんなヒメカマキリも、冷え込みがきつくなる今ごろは、体温を上げるために、日向ぼっこをする姿をちらほらと見かけるようになる。その時は動きが鈍く、ゆっくりと撮影させてくれる。産卵間近のメスはお腹がパンパンに膨らんでいる。
(Canon6D ISO 100)

2022/10/24 柿の実レストラン2 … 来客はオオスズメバチ(栗東市)

先週紹介した柿の木には、オオスズメバチの家族も頻繁にやってくる。なぜ家族と分かるかというと、この柿の木から少し離れたところに巣を作っていて、柿の実を吸汁しては、次々にその巣に運んでいく。そろそろ巣作り、子育ても終盤の時期、幼虫への最後の給餌になっているのかもしれない。近くで撮影していると、頭の上を重低音の羽音が通過していくが、こちらを攻撃してくることはない。巣作り終盤にはオスが生まれてくるはずで、交尾シーンが撮れないかと待っているが、今のところオスの姿はない。
(Canon6D ISO 100)

2022/10/17 柿の実レストラン … キタテハとウラギンシジミ(栗東市)

里道沿いの柿の実が、熟しはじめている。柿の実レストランには、まずヒヨドリがやってきて実をつつき食べる。その食べ残しに、果汁好きの昆虫たちが集まってくる。このレストランにはキタテハ、ウラギンシジミ、コムラサキ、クロコノマチョウなどのチョウや、オオスズメバチ、キイロスズメバチなど、スズメバチのなかまがやってくる。時にはひとつの実に、5頭のキタテハが顔を並べて吸汁する姿を見ることもある。道端の柿の木で繰り広げられる、小さな生き物たちの果実をめぐる攻防は、早朝から日没まで続く。
(Canon6D ISO 100)

2022/10/10 内と外 … スズムシの耳(栗東市)

まだ暑さの残る初秋の夜に「リーン、リーン」と涼やかに鳴くスズムシ。求愛やオス同士の縄張り争いで鳴いているわけだが、本人たちには、いったいどう聞こえているのだろうか。そもそも鳴き声を聞く耳はどこにある?その答えがこの写真。前足の脛節(けいせつ)の内側に、白色の米粒型の白い膜が見える、そこが耳。人に例えると肘の内側あたり。これが、コオロギでは脛節の外側にある。内側である利点、外側にある利点はどこにあるのか、本人たちに聞いてみたいが、ただただ鳴くばかりで、取り付く島もない。
(Canon6D ISO 100)

2022/10/03 虫のこえ … あれマツムシが鳴いている♪(栗東市)

「虫のこえ」の歌詞には、スズムシ、コオロギ、ウマオイ、クツワムシ、マツムシの5種類が登場する。歌詞の最初が、このマツムシ。「あれマツムシが鳴いている ちんちろ ちんちろ ちんちろりん」 体の大きさの割に、音量はかなり大きく、夜の里道を歩いていると、遠くからでも聞こえてくる。あちこちに生息しているわけでなく、僕の撮影フィールド内では、生息地は決まっていて、その草原にまとまってくらしているように思う。歌詞のように「ちんちろ ちんちろ」とは鳴かず、「ちんちろりん」とだけ鳴く。
(Canon6D ISO 100)

2022/09/26 口にくわえたものは何? … エンマコオロギの受精(栗東市)

エンマコオロギは、最も普通に見られるコオロギ。コオロギの受精は少し変わっている。まず、オスが鳴きながらメスに背を向ける。メスがそれに応じるとオスの背に乗る。するとオスは、尾部から精子を包んだゼリー状の塊(精包、精球)を出しメスの尾部に付着させる。メスはしばらくそれを付着させたまま歩き、やがて腹を懸命に曲げて、その精包を食べる。精包はとても小さく、あっという間に食べてしまうため、それを食べる瞬間を撮影するには、その生態を知ること、そして食べるまで待つ根気と、少々の運が必要。
(Canon6D ISO 100)

2022/09/19 月夜の晩に … 秋の鳴く虫クツワムシ(栗東市)

月のきれいな晩、鳴く虫を探しに、山へ出かけてみた。懐中電灯ひとつで山道を歩いていると、カーブを曲がる度、不思議な緊張感が走るが、虫の声を探しはじめると、それに夢中になり背後の気配は感じなくなる。クツワムシの声は大きくて、すぐに見つかりそうなものだが、葉陰で鳴いていたりして、意外と見つけるのが難しい。ようやく1匹がフキの葉の上で鳴く姿を披露してくれた。クツワムシは鳴きはじめると、鳴きやむまでの時間が長く、ゆっくりと撮影させてくれる。次はウマオイ、マツムシ狙いかな…
(Canon6D ISO 100)

2022/09/12 がまん比べ … トノサマバッタの食事(栗東市)

この季節、草原などを歩いていると、足元からバッタやイナゴが飛び出してくる。種類はいくつもあるが、その中でも体の大きなトノサマバッタは、飛翔力もあり、かなり遠くまで飛んで逃げる。警戒心も強く、うまく近づかないと、またすぐに逃げられてしまう。トノサマバッタの食事シーンを狙い、徐々に距離を詰める。膝をつき、指で触れられるまで近寄り、その後はひたすらがまん比べ。相手がこちらを安全な生き物と認識するまで、炎天下でじっと気配を消し続ける。ムシャムシャと葉を食べはじめれば、こちらの勝ち。
(Canon6D ISO 100)

2022/09/05 保護色の代表格 … カワラバッタ(東近江市)

最近の撮影テーマは保護色と隠れる。普通に見ていると見逃してしまう、生き物のようすを撮影している。写真で見ても、どこにいるか分からないように撮ることが狙いで、先日はカワラバッタの撮影に出かけてみた。カワラバッタの撮影は20年ぶり、すぐに出会えるか不安だったが、少し歩くと足元から飛び立ち、また少し歩くと数匹がいっぺんに飛び立ち、青色に輝く後ろ羽を見せ、飛び回っていた。寄りで撮影しても写真のような見え方、少し引いただけで石との区別がつかなくなる。炎天下の河原はカワラバッタ天国。
(Canon6D ISO 100)

2022/08/29 「もどき」とは心外 … ショウリョウバッタモドキのオス(栗東市)

「もどき」とは「似て非なるもの」「まがいもの」など、偽物といったイメージが強い。ところが、生き物や植物には、この「もどき」が名前に付くものがいくつもある。このショウリョウバッタモドキも、ショウリョウバッタの偽物ではなく、れっきとしたひとつの種である。似ているところといえば顔の形くらいで、羽は透明感がありササキリの雰囲気、触覚がピンと立ち上がり、ヒゲというより、角といった表現があてはまる。ススキの葉に張りつくように止まっていることが多く、ショウリョウバッタよりはるかに数は少ない。
(Canon6D ISO 100)

2022/08/22 秋の気配 … ギンヤンマの産卵(草津市)

まだまだ猛暑が続いているが、生き物たちのようすからは、秋の気配を感じることができる。セミの声はクマゼミやアブラゼミから、主役がツクツクボウシに変わり、水辺まわりではギンヤンマの産卵が、あちらこちらで見られるようになってきた。ギンヤンマはメスが単独で産卵することもあるが、多くはオスとメスが連結したまま産卵する。産卵シーンを見つけてから近づくと、警戒されて逃げられてしまうことになるため、少し離れたところで待ち伏せ、産卵しながら移動してくるのを待つ方が、撮影成功率が高い。
(Canon6D ISO 100)

2022/08/15 アリと共生 … ムラサキシジミの幼虫(栗東市)

先々週に紹介したムラサキシジミの産卵から発生し、成長した幼虫。アミメアリに守られながらアラカシの若葉を食べながら育っている。幼虫は体から糖分とアミノ酸を分泌してアリを呼び寄せ、幼虫に近づく敵をアリに防御してもらう関係のようだ。そのあたりを少し詳しく調べてみると、幼虫から分泌される蜜には、アリの歩行行動を制御する物質が含まれていて、幼虫のそばからあまり離れられなくなり、さらに敵に対し攻撃力が高まるとの研究結果が報告されていたりもする。落ち葉の下にもぐり蛹になるらしい。
(Canon6D ISO 100)

2022/08/08 ホソミオツネントンの夏 … 早朝の羽化(栗東市)

成虫越冬の夏、第3弾はホソミオツネントンボ。冬越しから目覚め、体色が青色に変わると交尾をして、水田周りなど水辺で育つ植物の茎や葉、組織内に卵を産みつける。先日、そろそろ新成虫の羽化の時期かと予想して、早朝から田んぼへ出かけてみた。カヤツリグサの茎に登り、羽化準備に入ったヤゴを発見。5時30分に羽化がはじまり、約1時間で終了。そのまま体を乾かし、14時20分、田んぼに少し強い風が吹くと、その風に乗って飛び立っていった。足元にはタイコウチの幼虫が2,3匹、豊かな水辺を満喫。
(Canon6D ISO 100)

2022/08/01 ムラサキシジミの夏 … アラカシの新芽に産卵(栗東市)

この夏は、成虫で冬越しをする虫たちの、今ごろのようすを撮影している。先週掲載したルリタテハも成虫越冬。越冬した虫たちの多くは、春に目覚めると交尾をし、産卵を済ませると命を終える。今ごろ見られる個体は、その幼虫であったり、新しく生まれた成虫だったりする。7月中旬に撮影したこの写真、卵は孵化し、幼虫はアメイロアリに守られながらすくすく育っている。ただ、産卵当時5個あった卵のうち、幼虫として無事育っているのはこの1匹だけ。近くにはクモやハチ、生存の難しさを実感させられる。
(Canon6D ISO 100)

2022/07/25 謎だらけ … ルリタテハ幼虫とタテハサムライコマユバチ(栗東市)

ルリタテハ終齢幼虫を見つけた。その2日後、幼虫が白い塊を抱いていて、それは小さなイモムシの集まり、ルリタテハ幼虫に寄生するコマユバチの幼虫。ルリタテハの幼虫が小さいころ、親バチが体内に産み付けた卵が孵化し、体を食い破り外へ出てきた瞬間だった。ハチの幼虫たちはルリタテハ幼虫の体内を食べて成長するが、不思議なことに、ルリタテハ幼虫の成長に関わる部分は損傷させない。体を食い破られたルリタテハ幼虫は、2日ほど生きていて、体を丸め出てきたハチの幼虫を守る。謎だらけのワンショット。
(Canon6D ISO 100)

2022/07/18 冬忍(すいかずら) … アサマイチモンジ産卵(守山市)

先日、スイカズラの葉裏に産卵するアサマイチモンジを撮影した。スイカズラの花は、咲きはじめは白色、3日後に咲き終わるころは黄色に変化する。植物の見分けは、あまり得意ではなく、花がないと判別が難しい。因幡晃さんの歌に「冬忍」があり、その歌詞に「忍という字は難しい、心に刃(やいば)を乗せるのね。心が時々痛むのは、刃が暴れるせいなのね・・」とある。チョウの産卵シーンを見かけるたびに、ワンショットを狙ってみるが、あちらと思えばまたこちら、思うようには撮らせてくれない。
(Canon6D ISO 100)

2022/07/11 ヤマドリ目線 … 広角レンズでワンショット(栗東市)

先週、ホロ打ちを紹介したヤマドリ。羽色が美しく、なんとかその羽色を出したいと、あれこれ試しながら撮影してみたが、暗い林内では発色が難しく、結局は自然光とストロボを調合した日中シンクロになった。望遠レンズでは図鑑写真にしかならず面白くない。背景の山や周りの木々など生息環境も入れたくて、ヤマドリの目線に合わせてしゃがみこみ、40mmの広角レンズで撮影。帰宅後に撮影した写真をあれこれ見ているうちに、雪の中にヤマドリを置きたくなってきた。近いうちヤマドリに、撮影予約入れておこう。
(Canon6D ISO 400)

2022/07/04 ドドドド … ヤマドリのホロ打ち(栗東市)

山道を散策中に、時々出会うヤマドリ。先月中旬には、長くきれいな尾羽を付けていたが、ここ最近は換羽の時期を迎えたようで、尾羽の数がだいぶ減ってきた。見ていると、下草を食いちぎるように食べていて、頻繁に糞をする。粘り気のある茶色の糞で、あっという間にハエの集団に覆われる。その日の気分で、ドドドドドとホロ打ちを見せてくれるが、お気に入りのホロ打ち場は真っ暗で、ストロボが必要になる。背景は夏の日差しでピーカン、こんな時には「日中シンクロ」300mmにストロボつけてワンショット。
(Canon6D ISO 320)

2022/06/27 良いことあるかな … 幸せを運ぶ白いオタマジャクシ(栗東市)

田んぼで見つけた白いオタマジャクシ。背中の尾の付け根付近に黒点があるので、アマガエルのオタマジャクシと分かる。暑さ続きで田んぼの水も干上がり、残された水たまりにいたオタマジャクシを、家に持ち帰り飼育中。水槽内の水田雑草を、ムシャムシャ食べながら元気に成長中。野外では、白色は目立ちすぎて、サギなどの捕食者に見つかりやすく、うまく育たないことが多いと思われるが、ここならば安心。はたして何色のカエルになることやら。写真をご覧いただいた皆さまに、何か良いことがありますように・・・
(Canon6D ISO 100)

2022/06/20 上から目線 … ツバメの親子(栗東市)

ツバメ親子の給餌撮影は、いつも見上げた写真ばかり。今回、ようやく上から目線で撮影できた。巣立ったばかりの雛は、まだ親からの給餌が必要で、親の姿が見えた瞬間、口を大きく開けて、黄色い口内を見せながら餌をねだる。今回の撮影では、僕の背中側から親がやってくると、カメラに向かって口を開けるアングルになる。僕と雛の距離は3mほど、ファインダー越しに親鳥目線での撮影を楽しむことができた。こんな撮影は、まず10mほどの距離から、じっと30分、5mから30分、これでツバメと友達になれる。
(Canon6D ISO 200)

2022/06/13 ミニ写真教室 … ホタルの撮影方法(栗東市)

先週、午前0時に撮影したゲンジボタル。用意する機材はバルブ(長時間露光)可能なカメラ、ロックのできるレリーズ、外付け用ストロボ、三脚。カメラを三脚セットし、バルブ(B)に設定、ペンライトで素早くホタルにピントを合わせ、レリーズでシャッターを切る。レリーズをロック、ストロボを手で持ち適当な位置からテストボタンを押して強制発光させる。レリーズを解除しシャッターを切る。ホタルが動かないこと、風がないことが条件で、ホタルの光が固定される。ストロボの当て方を変えながら、露光を調整する。
(Canon6D ISO 100)

2022/06/06 隠れ身の術 … カジカガエルは色とりどり(甲賀市)

先日、鈴鹿山系の、清流散策に出かけてみた。清流散策は2年前の夏以来、今回の目的はカジカガエル探し。鳥のさえずりのような、美しい声で鳴くカジカガエル、意外に警戒心が強く、近づくとすぐに清流に飛び込み、姿をくらます。その上、隠れ身の術にたけていて、自分のいる石や砂の色と同色に、体色を変化させることができる。偶然にも、水たまりのような浅瀬に集まっていた3匹を発見。扁平な体つきのわりにジャンプ力があり、田んぼのカエルとは、また違った趣がある。結局鳴いている場面は撮れず、トボトボと帰宅。
(Canon6D ISO 100)

2022/05/30 成長 … ニホンイモリの脱皮(栗東市)

ヘビの抜け殻は縁起が良く、財布に入れておくとお金がたまるなどと、昔からよく言われている。そのため、ヘビが脱皮することはよく知られているが、イモリやカエルも、同じように脱皮しながら成長することを、知らない人も多いのではないだろうか。それもそのはず、イモリやカエルの脱皮殻は、「皮」というよりも「膜」といった感じで、形として残ることはない。顔あたりからめくれはじめた膜が、徐々に下半身に向かってめくれていき、手足、尾をモジモジさせながら、膜を脱ぎ捨てていく。そのモジモジ姿が面白い。
(Canon6D ISO 100)

2022/05/23 春の集団引っ越し … ニホンミツバチ分蜂(栗東市)

林道で、ニホンミツバチの分蜂に遭遇した。ニホンミツバチは巣内に新しい女王バチが誕生すると、それまでいた女王バチ(新女王の母バチ)が、巣内に住む働きバチやオスバチの何割かを連れて巣の外に出る。巣を出た集団は新しい巣が見つかるまでの間、木の幹などに集まり蜂球をつくる。人の場合、家を出るのは娘の方だが、環境の良い巣を、若い世代に繋いでいくという、ミツバチの生存戦略のひとつと考えられる。最初、幹の周りをブンブンと飛び回っていた蜂たちが、重なるように集まり、やがてきれいな塊になる。
(Canon6D ISO 200)

2022/05/16 それなりに見せる … タニシのオス(栗東市)

田んぼの生き物が好きで、よく撮影する。田んぼの生き物は、多くが水中に生息するため、撮影は水槽での撮影になる。その時、なるべく水田の水中らしく見せるため、あらかじめ水槽内を、水田水中と同じ絵になるように、工夫しておく必要がある。撮影も楽しいが、この水槽づくりが面白い。水の濁りをなくすことがポイントで、準備は冬の間からはじめる。そうしておくことで、春に泥の中から、自然と水田雑草が発芽し、それなりに見えてくる。ちなみにこのタニシ、右側の触覚が曲がっていることで、オスと分かる。
(Canon6D ISO 100)

2022/05/09 共同作業 … オオアカゲラのペア(大津市)

今年3月中旬に抱卵を確認したオオアカゲラ、オオアカゲラの子育ては共同作業。抱卵を確認後ほぼ10日おきに、観察と撮影を兼ねて訪問。写真は4月の初旬、そのようすから雛が誕生したばかりと判断できた。巣穴から顔を出しているのがメス、外にいる頭の赤い個体がオス。雛が小さい間は、交互に餌を取りに行き、片方が巣に残り雛を守る。雛に与える餌は、主に樹内に潜む昆虫。特に、カミキリムシの幼虫が多いように感じる。
4月中旬に撮影した動画をYOUTUBEにアップ。それがこちらYOU TUBE
(Canon6D ISO 100)

2022/05/02 夜もまた楽し … トノサマガエル(栗東市)

山里の水田に水が引かれはじめた。まだ水のない水田も多く、水の入った水田には、冬越しから目覚めたカエルが一気に集合する。先日の晩、そんなカエルの撮影に出る。ゴールデンウィークは野山に人出が多く、それを避けて撮影しているが、夜の田んぼには、誰もいない。風で揺れる木の葉の音や、水路の水音が、人の声に聞こえたりして、時々背後を振り返ってみたりする。アマガエルは、目の前ですぐに鳴いてくれるが、トノサマガエルは、少々警戒心が強い。気配を消して、鳴いてくれるのをじっと待つ。
(Canon6D ISO 100)

2022/04/25 なぜ飛べる? … オオバンの飛翔(草津市)

オオバンが飛ぶ姿を見ていると、いつも思うことがある。ずんぐりむっくりの体型、短い翼でなぜ長距離を飛べるのか?体型のバランスや、がむしゃらに翼をばたつかせる飛翔姿からは、とても長距離を飛べるように思えない。これで「渡り」までするのだから、不思議だ。肥満体型の人間が、毎年春と秋に、フルマラソンに挑戦することと同じではないか。まあ、カブトムシでも、それなりに飛べるのだから、体型だけで判断するのは、大きなお世話なのだろうが、筋肉量と心肺能力が、かなりハイレベルだろうと想像できる。
(Canon6D ISO 400)

2022/04/18 全部が黄色 … 下翅を伸ばすナナホシテントウ(栗東市)

冬越しから目覚め、活動をはじめたナナホシテントウは、すぐに交尾をして産卵をする。その卵から産まれたのが写真の個体で、今年最初の新成虫となる。この個体も、それほど時間を置かず成熟し、産卵が可能になる。これを繰り返すため、あちらでもこちらでも、ナナホシテントウに出会う機会が多くなってくる。羽化したばかりの成虫には7個の黒点はなく、きれいな黄色で、卵も黄色、蛹化直後の蛹も黄色。つい先日撮影した動画で、そんな黄色をご紹介。蛹化のようす、羽化のようすが、観察できます。YOU TUBEへ
(Canon6D ISO 100)

2022/04/11 新築中 … エナガ大工は大忙し(草津市)

春になり、鳥たちは子育てのための巣作りに大忙し。エナガの巣は、外装をコケとクモの糸で作り、内装には柔らかい羽毛を敷き詰める。木の股に作られる巣は、その樹皮と保護色になり、完成後は樹皮とほぼ同化し、まったく目立たなくなる。今回選ばれた木はクスノキ。クスノキは常緑樹のため、早春でも青々とした葉が繁り、卵や雛を狙うカラスなどから巣を隠してくれる。ただ、この巣は地面からの高さが3mほど。クスノキの葉裏で越冬する、アオスジアゲハの蛹を探しに来た写真家に、偶然見つかってしまった。
(Canon6D ISO 250)

2022/04/04 啓蟄 … まだ眠いニホントカゲ(栗東市)

3月の撮影テーマは「啓蟄」。冬越しから目覚めた生き物たちを中心に、撮影してきた。そんな中で出会ったのが、このトカゲ。地べたに座り、オオイヌノフグリの周りを歩き回るナナホシテントウを見ていた時に、足元の穴から顔を出し、視線が合ったのがはじまり。指を伸ばせば、触れるほどの距離で、僕が動くとすぐ穴に潜ってしまうが、しばらくじっとしていると、また顔を出す。そんなことを5日間ほど繰り返しているうち、どんなに近づいても、平気で昼寝をするようになった。なんとも無防備な寝姿が可愛すぎる。
(Canon6D ISO 100)

2022/03/28 大群 … イカルだらけ(京都市)

イカルという鳥がいることを知ったのは、小学5年生のころ。図鑑で見たイカルの第一印象は、嘴の黄色い「文鳥」。その当時、文鳥は「手乗り文鳥」として人気があり、多くの家庭で飼育されていた。初めて自分の目で、イカルの黄色いくちばしを見たときに、とても感動したことを覚えている。それから何度もイカルを見てきたが、これほどの大群に遭遇したのは初めて。地面に落ちたカエデの種子を食べていて、種子を割る音が「パチッパチッ」と聞こえていた。座り込んだ僕との距離は5m、静かにワンショット。
(Canon6D ISO 250)

2022/03/21 春の陽気に誘われて … 水浴びをするアオジ(京都市)

アオジは、そろそろ北日本へ帰る季節。春の陽気に誘われて、林の水場で、少し長めの水浴び。旅支度を前にした水浴びだったのか、しっかりと水をかぶり、入念に羽繕いをしていた。アオジが弾き飛ばす水玉が、木漏れ日にキラキラ輝いて、水面にできる波紋が、円を描きながら広がっていく。それを3mほど離れたところから撮影しているが、こちらを警戒することもなく「きれいに撮れよ♪」といった感じで、カメラに目線を送る。その期待に応えるために、ワンショットずつ丁寧に撮る。早春の、のどかなひとコマ。
(Canon6D ISO 400)

2022/03/14 器用な指先 … アライグマ、ドングリを食べる(栗東市)

アライグマが、クヌギのドングリを食べている。リスの食べ方と同じように、両指でドングリを器用に持って食べる。アライグマは特定外来動物として問題視されているが、この子は日本生まれの日本育ち。祖先が、外国から持ち込まれたのは間違いないが、この子は生粋の日本の子。一方では、日本原産で秋の七草のひとつ、「クズ」がアメリカに持ち込まれ、大繁殖し、侵略的外来種に指定されている。外来種の侵入も、地球の歴史からみれば、生態系変化の通過点。侵入させた人間が、うろたえるのはいかがなものか…
(Canon6D ISO 100)

2022/03/07 最後の雪かな … ホソミオツネントンボ春隣(栗東市)

わずかに降った雪の中に、ホソミオツネントンボがいた。この冬、水田脇の林縁50メートルほどの間に、7匹のホソミオツネントンボと1匹のホソミイトトンボが越冬していた。そのトンボたちのうち数匹が、先日の暖かさに目覚め、飛びはじめた。林縁の地面からはフキノトウが顔をのぞかせ、葉を広げたショウジョウバカマの中心に、ピンク色の蕾が見えはじめている。日当たりのよい枝先でウグイスが歌の練習を開始、山全体が春めいてきた。「春隣」は晩冬の季語、そろそろ冬越しの撮影も終了、春の準備にとりかかる。
(Canon6D ISO 100)

2022/02/28 雪の日は忙しい … キタキチョウの冬越し(栗東市)

今年、滋賀県北部では記録的な大雪に見舞われているが、南東部にある栗東市では、ほとんど積雪がない。冬越しの季節感を出すには、やはり雪が欲しい。ということで、雪の降る日は、早朝から山へ向かい、狙いをつけておいた冬越し現場を順番に回る。すでに雪は止んでいて、山際から朝の日が顔を出しはじめている。日が当たれば、あっという間に融けてしまうほどの積雪量。日が当たる順番は把握していて、その順番に現場を回る。このキチョウ現場は最終撮影地。日が当たるのは午後1時過ぎ、余裕をもってのワンショット。
(Canon6D ISO 100)

2022/02/21 頭とお尻(Part2) … 今週はアライグマ(栗東市)

先週のタヌキに続き、今週はアライグマのデート。これもまた僕の勝手な決めつけで、兄弟なのか、親戚なのか、たまたま出会った他人なのか、知るすべはない。顔だけで見比べれば、タヌキと似ていないわけでもないが、尾を見ればアライグマと一目でわかる。フィールドサインとなる足跡も異なり、タヌキは犬の足跡に似ているが、アライグマは爪が鋭く前向きに5本の指跡が残るため、はっきりそれと分かる。深夜2時、暗闇の中、2頭の間にどんな会話がなされているのか、「ききみみずきん」が欲しくなる。
(Canon6D ISO 100)

2022/02/14 頭とお尻 … バレンタインのタヌキ(栗東市)

タヌキのデートは深夜1時。デートといっても、そう思っているのは僕の勝手で、もしかしたら兄弟なのかもしれないし、偶然出会った2頭かもしれない。ただ、ひと月の間に何度も2頭で現れていることから、ペアであることは間違いないと考えている。光電管での無人撮影なので、思うような構図で撮ることはできないが、2頭が並んでカメラを見てくれないかと、贅沢な注文をタヌキに寄せている。まあ、この写真はこの写真なりに、1枚の写真で顔と尾が見せられるのだから、それなりに「良し」とすることにする。
(Canon6D ISO 100)

2022/02/07 タヌキじゃないよ … アライグマ現れる(栗東市)

光電管設置から約ひと月、アライグマが現れた。昨年、アライグマが写りまくった場所からは、かなり離れていて、広範囲でアライグマが暮らしていることがわかる。この夜、タヌキが写ったのが深夜0時ごろ、アライグマが来たのは、それから6時間後の午前6時。もし、互いが遭遇した場合、いったいどちらが優位に立つのか興味深い。カメラへの写り方から見ると、シャッター音やストロボ光に対しては、タヌキよりも警戒心が薄いことが感じられ、その性格が、人家近くでアライグマが増える要因とも考えられる。
(Canon6D ISO 100)

2022/01/31 石めくり … ヤマトサンショウウオの冬越し(甲賀市)

10年ぶりに、石めくりをしてみた。石めくりとは、冬の水田まわりや雑木林の林下で、地面に埋まった石を「ヨッコラショ」とめくり、冬眠中の生き物を探す遊び。運が良ければ、アマガエルやカナヘビ、トカゲやイモリなどを見つけることができる。今回最初に見つけたのが、このヤマトサンショウウオ。体が小さいので、まだ幼体。すぐわきの水路には成体のメスがいて、そちらはそろそろ産卵の季節。先日の石めくり中に右手の爪が破損、ギターはしばらくお休み。石めくりには手袋が必須、手指にはご注意ください。
(Canon6D ISO 100)

2022/01/24 光電管テスト … 一番客はタヌキ(栗東市)

今月初旬から、光電管撮影をはじめた。前回、テンやリスなどを撮影した画角より少し引いて、セッティング。設置当日の夜に現れたのが、このタヌキ。それから毎晩出現し、2頭同時に写っていることもあり、ペアで行動していると思われる。今のところ出現したのは、タヌキ、シロハラ、ヤマドリの3種類。まだ設置から2週間ほど、今後、どんな動物たちが写ってくれるか、期待している。100mmレンズにストロボ3灯、光の加減はまあまあかな・・。
光電管撮影に関しては、「写真家をめざす貴方へ」No.4で詳しく解説中。
(Canon6D ISO 100)

2022/01/17 霰(あられ)あと … ダイサギに差し込む西日(草津市)

鉛色の雲から、真っ白な霰が落ちてきた。前が見えなくなるほどの勢いで、パチパチと音を立てながら、一粒一粒、地面を転げて重なっていく。水辺のダイサギは、羽毛をふっくらと膨らませ、容赦なく打ち付ける霰の攻撃に、じっと耐えているように見えた。1時間ほどで暗い雲が通り過ぎると、その切れ目からオレンジ色の西日が差し込んできた。それを待っていたかのように、ダイサギは体をワサワサと揺らし、大きな翼を広げ、羽毛に付いた霰を一気に弾き飛ばした。霰の粒が、光の粒に変わった瞬間をワンショット。
(Canon6D ISO 200)

2022/01/10 「群れる」は難しい … カワラヒワの群れ(草津市)

枝に群れる、小さな野鳥撮影は難しい。望遠レンズは被写界深度(ピントの合う幅)が狭く、手前の枝にいる個体と、奥にいる個体の両方にピントを合わすことができない。また、群れと自分が平行の位置にいないと、群れに奥行きができてしまい、すべてにピントを合わすことができない。冬の山歩きをしていて、カラ類とエナガ、メジロ、コゲラなどが群れながら移動しているのを見ると、これをなんとか1枚の写真で表現できないかと、チャレンジしてみるが、今まで成功したことがない。あれこれ画策していつか、きっと・・・
(Canon6D ISO 200)

2022/01/01 謹賀新年 … 里山のテンもお正月(栗東市)

昨年はコロナ対応で、気苦労の多い一年でしたね。今年こそは、穏やかな日常が戻ることを願っています。脳トレと、少し気の早いエンディングノートを兼ねて、YOUTUBEを続けています。相変わらずですが、自然からエネルギーをもらい、生き物たちの日常を切り撮っていきます。
本年もよろしくお願いいたします。
里山のテン、お正月のメイン料理は、熟した柿の実になったようです。