2020/12/21 夜の訪問者(その3) … 午後6時のホンドタヌキ(栗東市)

栗東市、この日の日没時間は、午後4時45分。それから1時間15分後、今夜の一番手は、このタヌキ。見た感じでは、顔に幼さが残る若者。栗東市の山では、麓の里から山頂まで、幅広く生息していて、カメラに写ることは、さほど珍しくはないが、アライグマなどの進出で、生息環境がどう変わったかに興味があった。それでも、アライグマやホンドテンと共生し、昔と変わらずカメラ前に来てくれたことが、なによりもうれしい。ところで昼間はどこにいるのか、一度案内してほしいところだが、化かされたりするのは困るな・・・
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/12/14 夜の訪問者(その2) … 午前1時のホンドテン(栗東市)

ホンドテンには、冬になると体全体がヤマブキ色になる通称キテンと、喉の部分だけがヤマブキ色になる通称スステンがいる。滋賀県では、鈴鹿山地など標高の高い場所にはキテンが生息し、栗東市などの低山地にはスステンが生息している。夏毛の顔は、シックな焦げ茶色をしているが、冬毛では白色に変化してくる。シャクトリムシのように、体を上下にクネクネさせながら歩く姿が特徴的で、日中でも時々見かけることがある。正面を向いた顔が、とにかく可愛くて、写真を見ながらニヤニヤしてしまう。写ってくれて、ありがとう・・・
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/12/7 夜の訪問者 … 午後10時のアライグマ(栗東市)

近くの山でも、外来動物たちが勢力を広げはじめている。その代表が、アライグマ。人の世界で、他国間の交流が密になれば、他国の生き物が入り込んでくるのは、必然的なこと。外来種が生態系に悪影響をもたらすともいわれるが、地球誕生からの時間軸の中では、これも通過点のひとつ。したたかな生き物たちが、「外来種」などと呼ばれながら、人間の性格や心情を利用し、分布域を広げているとも考えられる。アライグマよ、君には何の責任も罪もない。農家さんを困らせぬよう、堂々と、時にコソコソと、日々暮らしてくれ。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/11/30 味わうことなく … コナラを丸呑みにするカケス(栗東市)

ドングリを丸呑みにするカケスを見ていると、なぜドングリなのだろうと考えてしまう。ドングリなら何でも良いかというと、そうでもなく、丸く大きなクヌギのドングリには目もくれない。大きくて、呑み込めないからかもしれないが、くちばしで砕いてまで、食べる気はなさそうだ。獣たちは、歯で噛み砕き食べるのだから、味の好き嫌いがあるのだろうが、丸呑みしてしまうのであれば、味などどうでも良いはず。エゴノキの実、ムクの実、エノキの実、秋の里山にはたくさんの実がある。なぜコナラが好きなのか、聞いてみたい。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/11/23 キノコの妖精 … 真赤なムモンシリグロオオキノコムシ(栗東市)

雑木林の朽ちたクヌギにヌメリスギタケモドキが束生していた。そんなキノコまわりを、忙しく歩き回る真赤な甲虫、ムモンシリグロオオキノコムシ。オオキノコムシという名前だが、体長は5〜6mm。繁殖の時期なのか、傘の裏に入り込んだり、傘の上を追いかけ合ったり、エナメル質の赤い妖精が8匹ほどで運動会。本来であれば、写真のキャプションに「ヌメリスギタケモドキで交尾をするムモンシリグロオオキノコムシ」と記載するところだが、文字数が多すぎて、既定の文字数を超えてしまう。さて、どうしたものか…
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/11/16 秋のコレクション … ツタウルシ紅葉(栗東市)

ここ10年ほど、夏の猛暑のせいか、紅葉する木々の葉が、秋を待たずして褐色に変色し、彩の精彩を欠いている。そんな中でも、今年は優秀な方で、遠目から見れば例年より美しく見える。今週は、鈴鹿山地や比良山系の山麓を散策し、紅葉コレクションを撮影。色とりどりの紅葉を拾い集め、その場で撮影する。この一週間で約40種類の紅葉を、白バックで撮影することができた。まるで色鉛筆で描いたようなツタウルシの紅葉、美しい彩だが、体質によっては、かぶれに注意が必要。美しさに惹かれ、むやみに手を触れませんように。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/11/9 探しもの … リスのドングリ探し(栗東市)

大きなスダジイの木の下で、忙しく動き回るニホンリス。探し物はなんですか? 見つけにくいものですか? 木の根の下も、落ち葉の下も、見つけたけれど見つからないのに、まだまだ探す気ですか?… と口ずさみながら、ファインダーを覗く。リスは、地面に落ちたドングリを探し出して食べているが、スダジイのドングリは小さくて「ドングリを食べる」といったタイトルには、なりにくい。この秋は里山の草原に張り付いていたが、リスの姿を見たりすると、そろそろ森と水辺にテーマを移す季節だな、と感じる。この冬は何撮ろうかな…
(撮影・Canon6D・ISO400)

2020/11/2 何の写真? … クロコノマチョウ冬越し準備(栗東市)

今回の写真は、ノートリミングのまま掲載すると、おそらく多くの人たちが、「何の写真?」と首をかしげたくなる写真だと思う。そんなわけで、その「何?」が分かるまでトリミングをして掲載した。この秋、羽化したクロコノマチョウは成虫のまま越冬する。クロコノマは薄暗い場所を好み、体を横にすると、落ち葉と同化し、すぐそばで見ても見逃してしまうことがある。
さて、ここまでトリミングすれば、どこにいるか分かりますね。そこの分からないあなたにヒントです。二つある石のまわりをよく見てください… 右を向いています。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/10/26 あら、めずらしい … 緑色のコカマキリ(栗東市)

先日、林道を歩いていると、少し前を一匹のカマキリが道を横断していた。「ん??あいつは誰?」。緑色のカマキリだが、オオカマキリでないことは、遠目からも判断できた。そっと近づいてみると、今まで見たことのないカマキリ。ウスバカマキリを見たことがないので、もしかしたら・・と思ったが、前肢にはコカマキリの特徴でもある黒紋があり、フォルム全体から見てもコカマキリであることが想像できた。コカマキリといえば茶褐色が当たり前で、こんな緑色の個体がいることを知らずにいた。緑色になった要因はどこに・・・
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/10/19 初めて見た … コカマキリの産卵(栗東市)

太陽が東から西へ移動すると、林縁に日が当たる場所も移動する。その光の移動に合わせて、カマキリたちが林道を横断するため、道を歩くオオカマキリ、コカマキリがたくさん見られる時間帯がある。時には、交尾をしたまま移動するコカマキリを目撃することもある。コカマキリの産卵は、地面に落ちた朽木の裏側ではじまり、9時過ぎから2時間ほどかけて、かまぼこ型の卵塊が完成した。白い泡で包まれた中央部分、黄色く見えるのが卵。カマキリの卵塊は、カプセル状の卵が、白い泡の中で、きれいに整列している。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/10/12 広角レンズの楽しさ … ニホンカナヘビ(栗東市)

生き物と出会った時、その環境も写し込みたい場合、広角レンズが活躍する。広角レンズの使用は、小さな生き物に限ったことではなく、その昔、ヤマセミを撮影していた時期にも、24mmレンズを多用し、生息環境を写し込んでいた。小さな生き物にボリュームを出したいときにも、広角を使う。林縁のワラビ群生地から、顔を出したニホンカナヘビ。その姿が小さな恐竜のように見えたので、広角でマクロ撮影。地面に膝をつき、レンズを30cmほどに近づけて、ワンショット。ミニチュア恐竜の撮影、ほどなく完了。
(撮影・Canon6D・ISO200)

2020/10/05 オスの執念 … オオカマキリのすごさ(栗東市)

草原で、オオカマキリのオスとメスが、近距離でにらみ合う現場に遭遇。交尾が撮影できる可能性があるため、観察を開始。すると、メスが突然ジャンプをするように、オスに飛びかかり、釜のついた前肢で、羽交い絞めにし、頭部を食べはじめた。オスは抵抗することもできず、頭から胸へと食べられていく。そんな中、オスの腹部はくねくねと動き、メスの交尾器を探している。上半身が、すでに失われているにもかかわらず、ついに交尾成功。これはいったい、どんな仕組みなのか、謎が深まる。すごいぜ!オオカマキリ。
(撮影・Canon6D・ISO200)

2020/9/28 我が家を食べる … コチャバネセセリ巣作り中(栗東市)

林道脇のクマザサ群生地で、コチャバネセセリの幼虫が、せっせと家づくり。一枚の葉の両端を、口から糸を出しながら、筒状にとめていく。葉の内側にも糸を吐き、徐々に葉の両端を引き寄せ、完全な筒にする。5時間ほどかけて作った隠れ家だが、ここからが面白い。幼虫は、葉の付け根側から顔だけを出すと、せっかく作ったマイホームを食べはじめる。葉の丈夫な主脈を残し、葉を食べていくため、筒の部分が徐々に短くなり、主脈だけでぶらぶらとぶら下がった家になる。ササ藪をよく見ると、そんな家がちらほら・・・
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/9/21 幸せの青い蜂(Part2) … ルリモンハナバチ(大津市)

先日紹介した青色のハチはオオセイボウ、今回はルリモンハナバチ。一般的に、幸せを運ぶ蜂「ブルー・ビー」とよばれるのは、本種。絶滅危惧種に指定されている地域もあり、観光花畑などに現れると、地元のニュースになることもある。ただ、数が少ない上に、単独で行動するため、見逃されている可能性が高く、実際はあちこちに生息しているように思う。この日は、キツネノマゴ群生地で吸蜜していて、周辺のオミナエシには、オオセイボウも訪れていた。両種を同時に見られているので、「幸せ」も2倍になるかな・・・
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/9/14 撮影成功 … ハイイロチョッキリ産卵(大津市)

ハイイロチョッキリ撮影に通い続けて14日目、ようやく産卵シーンの撮影に成功。この日は台風の影響で風が強く、枝の揺れが止まらない。こんな日は、細い枝にとまる生き物の撮影には不向き。別の撮影に向かう途中、いつものコナラを見上げると、チョッキリが産卵用の穴開け中、ダメもとで、産卵を待つ。風が止まった一瞬と産卵が一致、お尻から出されるクリーム色の卵がバッチリ撮れていた。卵の大きさは1mmほど、口吻で穴の奥に押し込み、穴掘りで出た削りかすで穴をふさぎ、産卵終了。運が味方してくれた一コマ。
(撮影・Canon6D・ISO400)

2020/9/7 幸せの青い蜂 … オオセイボウと七草(大津市)

「幸せの青い鳥」ならぬ「青い蜂」。その名は青蜂(セイボウ)。本種の名はオオセイボウ。秋の七草のひとつ、オミナエシの花に吸蜜に訪れた。付近には6匹のオオセイボウがいたが、その内の4匹は羽が痛んでいた。オオセイボウは、スズバチというハチの巣に卵を産み付ける寄生バチで、産卵中に巣を守るスズバチに攻撃を受けたのかもしれない。羽のきれいな2匹の個体に狙いを絞り、撮影開始。顔を花粉だらけにしながら、忙しく動き回る「小さな幸せ」を1時間ほど撮影。殺人的な日差し、あまりの暑さにギブアップ。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/8/31 10日目 … ハイイロチョッキリの穴あけ(大津市)

コナラめぐりは、この日が10日目。撮影ポイントを見つけると、そこに何日も通い続けるのが僕の撮影スタイルで、ここにある10本ほどのコナラを、行ったり来たり、何度も巡回する。この日は雨、まだ緑色のドングリに雨粒が水玉になってくっつく。そんなコナラを撮影していると、目の前のドングリにハイイロチョッキリ。長い口吻を使い、ドングリに穴をあけて食事中。地上から1mほどの高さ、撮影には最適の高さだ。食事を終えたハイイロチョッキリはドングリの裏側に回り込み、身を隠して動かなくなった。
(撮影・Canon6D・ISO125)

2020/8/24 今年もまた … ハイイロチョッキリの季節(大津市)

猛暑の炎天下で、コナラの木を見て回る。探し物はハイイロチョッキリ。ハイイロチョッキリは、長い口吻でドングリに穴を開け産卵し、そのドングリのついた細枝を、これまた口吻で切り込みを入れ、地面に落とす。小さな昆虫なので、目線の高さぐらいにいてくれないと、アップで撮るのは難しい。多くは高いところにいて、モデル探しに苦労する。ふき出す汗、日焼けと闘いながら、今年初めての出会いをワンショット。これからしばらくは、チョッキリ生態撮影で、真夏のコナラめぐりが続きそうだ。
(撮影・Canon6D・ISO125)

2020/8/17 レアなヘビ … なつかしいタカチホヘビ(栗東市)

雨の朝、林道で出会ったタカチホヘビは、虹色に輝くレアなヘビ。初めて出会ったのは、一番弟子の関慎太郎の自宅。当時飼育していた個体を見せてもらった。彼とは、25年ほど前「写真家になりたい」と電話をもらってからの付き合いで、昼夜を問わず、水田、水辺を二人で歩きまわり、撮影方法を伝授しながら、両生爬虫類に関しての生態を教えてもらったりした。関慎太郎は、今や両生爬虫類の分野ではトップクラスの活躍を見せている。最近は、出会う機会が少なくなったが、若かりしあのころを懐かしく思う。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/8/10 5分後 … コオイムシ親子(栗東市)

産卵から10日後に孵化した幼虫。孵化から5分後、体の大きさ、体の色は親とまったく違うが、水中で鎌状の前肢を広げ、足場を固めたようすは一人前。オス親は、卵を背負ってから、一度も食事をとらず、かなり空腹だろうと想像するが、目の前の幼虫を食べてしまうことはない。ただ、幼虫は生まれてすぐに捕食を開始するため、近くにいる幼虫同志で共食いすることもある。
水生昆虫飼育は、水管理やエサ取りに苦労するが、水中でのできごとを、目前で撮影することができる。100mmマクロに中間リング、ストロボ2灯を使用。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/8/3 10日後 … コオイムシ生まれました(栗東市)

先週掲載したコオイムシの産卵は、7月22日。それから10日後の7月31日、背中の卵から小さな幼虫が誕生した。幼虫は、カプセル状の卵上部の蓋を開けて、背伸びをするように生まれ、手足を「く」の字に曲げたまま、後ろにのけぞるように外へ出る。それと同時に親が水に潜ると、その浮力で幼虫が水に放たれる。生まれたばかりの幼虫は乳白色の体色をしているが、1時間ほどすると暗灰色に変身する。卵は、数十分おきに一つずつ孵化し、その度に親は杭をよじ登り、背中を水上に出しながら、誕生の手助けをする。
(撮影・Canon6D・ISO160)

2020/7/27 おかしな夫婦 … コオイムシ産卵(栗東市)

コオイムシは、メスがオスの背中に卵を産み、オスがそれを背負い、孵化まで世話をする。オスは水草上や水面で体を上下させ、水の波紋でメスを誘う。カップルが成立し、産卵がはじまると、オスは体を振りながらメスの体の下に潜り込もうと努力する。メスは、すんなりとオスを受け入れるわけでなく、しばらく攻防が続く。そのようすが、見ていてとても面白い。産卵は一度で完了することなく、それぞれが空気を吸うため、何度か水面に尻先を出しに上がる。
写真はメスが卵を産みつける瞬間・・雨の日の自宅撮影。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/7/20 托卵(その2) … 観察記録(栗東市)

6月17日、林道沿いのササ藪にウグイスの巣を発見。
6月24日、12時50分、親鳥が卵の殻を運び出す(孵化と予想)。
6月26日、巣の入り口に卵が2個押し出されているが、親鳥はそれを無視して餌運びをする(托卵と予想)。
7月1日、入り口の卵がなくなり、黄色いくちばしの先端が見える。
7月5日、くちばし全体が見える(托卵を確信)。
7月7日、雛の顔が目の部分まで見えるようになる。
5分〜10分間隔で餌運びをするようになり、7月11日、朝6時、巣立ち。
写真は巣立ち2日前、7月9日、12時30分のようす。
(撮影・Canon6D・ISO160)

2020/7/13 托卵 … ウグイスが育てるホトトギス(栗東市)

6月17日、急斜面のササ藪にウグイスの巣を見つけた。今まで見てきたウグイスの巣と違い、少々目立つ場所に作られていた。急斜面のため、巣の中を覗くことはできないが、車内から10mほどの距離で観察、撮影ができた。親鳥が卵の殻を運び出すようすを確認した2日後、巣の入り口に卵が2個置かれていて、「托卵?」と感じていた。それから毎日、1〜2時間の観察を続け、巣の入り口からくちばしが見えるようになったところで、托卵を確信。7月11日の巣立ちを見届け、ほっと一息。観察記録は、また来週。
(撮影・Canon6D・ISO160)

2020/7/6 産卵 … 水田雑草とメダカ(栗東市)

たくさんの卵をお腹に付けたメダカが、水田雑草に卵塊をこすりつけるようにして、産卵していていく。群生しているのはキカシグサ。現在は1〜2cmほどの高さだが、初秋には10cmを越える高さになり、水中で淡いピンク色の花を咲かす。メダカが産卵しているのは、小枝が節と節でつながるシャジクモ。シャジクモの黄色く見える粒は生殖器、オスの生殖器とメスの生殖器が並んで付く。どちらも、水質環境の良い場所に生育する水草で、絶滅が心配されている場所もある。水は生命の起源、いつまでも美しくあれ!
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/6/29 水陸両用 … 外国から来たイネミズゾウムシ(栗東市)

ゾウムシといえば、樹上や草の上に生息するのが普通だが、このイネミズゾウムシは水陸両用。体長3mmほどの小さな体で、飛ぶ、泳ぐ、潜る、の全てをこなす。イネの根付近に産卵し、イネの葉を食べるため、イネにとっては害虫となる。アメリカから来た外来種で、単為生殖能力があり、日本ではメスだけが存在すると考えられている。田植え後の苗が育ちはじめたころ、葉鞘を伝いながら、水中を歩くようすを撮影してみた。体が小さい上に動きも早く、葉鞘のすきまに隠れてしまうため、産卵までは撮影できなかった。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/6/22 雨の日は … タガメ、オタマジャクシを捕食(栗東市)

梅雨の時期、雨の風景を撮影に出かけることもあるが、雨の降り方や空の明るさで、自宅撮影になる日が多くなる。そのため、被写体用に自宅ベランダで、常に何種類かの生き物を飼育している。自宅撮影では、被写体に対して、ストロボを前から、上から、そして背景用など2〜3灯使用することになり、それぞれのストロボの光量を調整し撮影する。今回は、タガメがトノサマガエルのオタマジャクシを捕食するシーンの撮影。上からの光をほんの少し強めに設定し、水辺に差し込む日差しのイメージを出してみた。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/6/15 残念な結果 … ホオジロの子育て記録(栗東市)

カマキリ卵の孵化を撮影中、ススキの株で巣作りするホオジロに出会った。毎日1個ずつ卵を産み、最後の5個目を産んだところで抱卵に入る。それから2週間、孵化を確認。雛は順調に育ち、もうじき巣立ちをむかえるはずだった。ところが、その日ススキ野原は、あちこちが掘り返され、踏みつけられていた。地面には、イノシシの足跡がたくさん残っていて、おそらくミミズなどを探し回ったに違いない。巣のあったススキ株も踏みつけられ、壊れた巣は空っぽ、雛も食べられてしまったに違いない。残念・・・・
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/6/8 初夏の1ページ … オオルリの子育て記録(栗東市)

林道で卵を抱く彼女に出会ったのは、5月15日。出会いは偶然、目と目が合ったその日から、5月31日の巣立ちまで、オオルリ夫婦の子育てを追った。孵化は19日、雛は5羽。今回は雛の成長記録が目的のため、雛のようすを日々5分ほど撮影。雛の目がしっかり開くまでに7日ほどかかり、親の餌運びを撮影したのは孵化から10日目。その時は、まだまだ巣立ちそうもない体の大きさ、顔をしていたが、それから2日後の5月31日、雨の日曜日。7時50分、1羽目が巣立ち、9時までにすべての雛が元気に巣立っていった。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/6/1 SSがSSSを食す … オオカマキリ幼虫、アブラムシを捕食(栗東市)

卵から孵化して、2週間ほどのオオカマキリ幼虫のそばへ、アブラムシが近づいてきた。それまで正面を見ていた幼虫の顔が、キッとアブラムシの方へ向いた。その仕草は、大人のカマキリと変わらない。幼虫は風に揺れる枯草のように、体を揺らしながらアブラムシとの距離を縮め、距離を測る。そして、射程距離にはいった瞬間、カマを伸ばし、超ハイスピードで捕まえた。体長12mm、SSサイズのカマキリ幼虫が、体長2mm、SSSサイズのアブラムシを捕食。それを体長185cm、XLの大男が背中を丸めて撮影する。
(撮影・Canon6D・ISO160)

2020/5/25 おそるおそる … コゲラの巣立ち(守山市)

抜けるような青空のもと、コゲラが巣立ちの日を迎えた。親鳥の呼びかけに顔を出していた雛1羽が、午前8時おそるおそる巣穴から外へ出た。飛び立つことはせず、爪でしっかりと樹皮をつかみ、木を登って行った。2羽目の巣立ちは9時30分、この子は、ぎこちないものの、巣穴から20mほど離れた親鳥が呼ぶ木まで飛翔した。写真の子は3番手、10時に巣穴から出て、1番手と同じように、木をよじ登っていった。4番手は後押しがなく、なかなか巣立てない。午後から別の撮影があり、13時で観察を終了。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/5/18 散らかし放題 … コゲラ巣作り中(守山市)

コゲラは、スズメと同じ大きさくらいのキツツキ。巣作りをしているのは「ポツンと一本ヤナギ」。 体の小さなコゲラは、細めの枯れ木に巣作りすることが多いが、この木はかなり太めのシダレヤナギ。台風に痛めつけられた古木ではあるが、まだまだ元気な木。巣穴は地上2mほどの高さにあり、これほど開けた場所の一本木に作られることは珍しい。オスとメスが交代しながら穴を掘り、木くずをくわえては、外へ放り出す。撮影は3月25日、つい先日この巣から4羽の雛が元気に巣立っていった。そのようすは、また来週。
(撮影・Canon6D・ISO125)

2020/5/11 「にらみ」 … タガメの目覚め(栗東市)

落ち葉下で、越冬していたタガメが活動をはじめた。水辺に侵入すると、水面に浮かび上がり、呼吸管を水上に出し、たくさんの空気を体に取り込む。その後、水中に潜り、倒木や杭など、足場がしっかりした場所に体を固定し、首を左右に動かしながら、中肢と後肢を使い、体の手入れをする。それは、冬眠中に固まった体をほぐしているようにも見える。歌舞伎の世界にも「にらみ」があるが、昆虫界ではタガメの「にらみ」が群を抜いている。かぎ爪前肢を開いた姿と、この「にらみ」がタガメファンにはたまらない。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/5/3 害虫?駆除 … ヒガラ、スギドクガをゲット(栗東市)

大きな幼虫をくわえたヒガラ。幼虫はスギやヒノキの葉を食べるスギドクガ。成虫のガには毒がある。ヒガラの体長は11cm、この時期のヒガラは、子育て中で、たくさんの幼虫を捕らえているに違いない。栗東市の山は、スギやヒノキの植林地が多く、ヒガラはそんな森を守る上で、一役買っていることになる。ただ、こんな幼虫がいなければ、ヒガラの雛たちはエサ不足になるのだから、単純に「害虫がいなくなれば良い」とは言い切れない。この絶妙なバランスが、豊かな自然環境を作り、多くの生き物たちを育んでいる。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/4/27 今年は早い! … オオカマキリ孵化(栗東市)

4月20日、今年初めてオオカマキリの孵化を見た。栗東市では、例年ならば5月上旬の午前中に出会う機会が多い。この冬は、積雪の日が1日しかなく、やはり暖かいのかもしれない。昨年の秋、15m四方のススキ野原に20個ほどの卵塊があるのを見つけ、孵化撮影を期待していたのだが、冬の間に全て刈り取られてしまった。その中から8個の卵塊を見つけ出し、林道脇の撮影しやすい場所に、卵塊付きススキを差し込んである。それでも、毎日ようすを見に行くわけにはいかず、運を天に任せての孵化撮影になる。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/4/20 Cafeサクラ … メジロの注文は蜜甘味(京都市)

メジロのカップルが、Cafeサクラへやって来た。邪魔しないように、そっとそのようすを撮影させてもらう。カップルは、枝を行ったり来たりと忙しく動き回り、蜜の甘味を堪能している。2羽は、近づいたり離れたりしながら、好きな花を選んで舐めるため、ピント合わせが忙しい。その上、2羽同時に画面に入れ、2羽ともにピントがくるよう、体を伸ばしたり縮めたり、右に傾け左に傾けしているうちに、カメラを持った腕がパンパンに張ってくる。6カット撮影し、2羽にピントが来たのは2カット。まあまあかな…
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/4/13 On Your Mark … ゲンゴロウVSミナミヌマエビ(栗東市)

水底で、冬眠明けの生き物たちが活動をはじめている。クラウチングスタートのゲンゴロウに、ミナミヌマエビが挑む。ゲンゴロウは毛の密集した大きな後肢で水をかくため、スイスイと泳ぐことができるが、ヌマエビは10本の小さな足を細かく動かしながら泳ぐため、さほどスピードが出ない。ところがバックとなるとスピードが逆になる。ゲンゴロウは水上の空気をお尻から取り入れる時、バックで上がっていくが、泳ぐというよりも浮かんでいく感じ。ヌマエビはお尻を勢いよくキュッと曲げれば、一瞬でバックできる。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/4/6 最近の出版物から … 「たけのこ なんのこ」チャイルド本社

チャイルド本社の月刊誌、サンチャイルド・ビッグサイエンス3月号のひとコマ。今回の企画は、今が旬のタケノコ。タケノコから竹への変身など、植物としての生態的な部分を担当した。
さて、先週の「サギカメ算」。20羽すべてがサギだとすると、足の数は40本で、22本足らないことになる。そこでカメを1匹加えてみる。その時、サギを1羽減らさなければならないため、カメを1匹加えるごとに、足の数が2本ずつ増えることになる。足は22本足らないので、カメを11匹加えれば良いことが分かる。で、サギは9羽となる。

2020/3/30 サギカメ算 … ダイサギとアカミミガメ(守山市)

春の日差しのもと、琵琶湖へつながる水路でのひとコマ。それぞれに吹き出しを付けて、セリフを書き込みたくなる。鶴亀算ならぬ「サギカメ算」。ここで問題、サギとカメが合わせて20匹います。足の数は全部で62本です。さて、サギとカメはそれぞれ何匹いるでしょう?中学生以上のみなさん、X+Y=20などと、連立方程式を使うのは反則です。小学生に戻り、頭を柔らかくして解きましょう。全部がサギだとすれば、足の数は40本、カメだとすれば足の数は80本、これがヒントです。答え合わせは、また来週。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/3/23 種子をまく鳥 … 未消化の種子を吐き出すシロハラ(京都市)

種子には、風や水の流れで運ばれたり、動物の体にひっついて運ばれたり、生き物の糞や未消化物として吐き出されることで、生育地を広げたりするものがある。先日、土を掘り返しながら、ミミズを食べるシロハラに出会った。妙に人懐こくて、僕との距離は3m。撮影していた30分の間に5匹のミミズを食べ、3回種子を吐き出した。種子を吐き出す前は、瞑想するようにじっと動かなくなり、にわかに大きな口を開けて吐き出す。残念ながら、種子の種類が分からないので、拾った種子を育ててみることにする。
(撮影・Canon6D・ISO250)

2020/3/16 似たもの夫婦 … カルガモのペア(京都市)

野鳥の場合、その多くは、オスが派手な色合いで、メスが地味な姿をしている。これは、子育て中のメスが、外敵に見つかりにくいためと考えられている。カモのなかまも、一般的にオスが美しいのだが、カルガモは似たもの夫婦。背中あたりの羽、一枚一枚を見たときに、羽の縁が淡い色で縁取られている方がメス。体がやや大きく、尾のあたりが黒い方がオスとされる。そのことから、この写真を判断すると、前を行くのがメスということになる。しかし、交尾でもしてくれないと、「絶対」と断言する勇気はない。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/3/9 大好物のミミズ … トラツグミ食事中(京都市)

トラツグミは大のミミズ好き。僕らがミミズを探すには、湿ったところをシャベルで掘ったりして見つけるが、トラツグミは土を掘りまくることなく、いとも簡単にミミズの居場所を突き止める。食事風景を観察していると、足で地面をトントンと叩き、何かを感じると素早く嘴を差し込み、ミミズを捕らえているように見える。足裏にミミズセンサーでもあるのだろうか? 夏の営巣を見ていても、あふれんばかりのミミズをくわえて、巣で待つ雛に運んでくる。僕らにもミミズセンサーがあれば、釣り餌探しが楽になるはず。
(撮影・Canon6D・ISO400)

2020/3/2 最近の出版物から … 「まめ、だいすき!」世界文化社

世界文化社の月刊誌、かがくえほん「ワンダーしぜんランド」2月号のひとコマ。今回の企画は、節分の豆まきに絡ませた豆の特集。大豆の生長を見せながら、節分、豆でできた食品、カラフルな豆たちを紹介した本作りになっている。僕の担当は、豆の生長など植物としての生態的な部分と、豆の品種あれこれ。大豆の発根にはじまり、発芽、生長、開花、夏のみずみずしい枝豆状態、晩秋に鞘が枯れて大豆が誕生するまで、守山市の大豆畑を定点で追いながら撮影した。撮影終了後は、しばらく「豆ご飯」が続くこととなった。

2020/2/24 のどかな賀茂川 … のんびりカワアイサ(京都市)

定期的に京都府立植物園へ出かけていて、時々、横を流れる賀茂川を散策してみたりする。この日の賀茂川は、快晴の空から朝日が差し込み、水面で憩う水鳥たちを一際輝かせていた。警戒心の強いカワアイサは、琵琶湖などでは、いつも沖にいて、人のいる湖岸などに近づくことはないが、賀茂川のカワアイサたちは、都会っ子のせいか警戒心が薄い。犬の散歩やジョガー、自転車に乗った学生や、サッカー練習をする若者たちで、にぎやかな河岸。そんなことはどこ吹く風、目の前の水面で、のんびりとくつろいでいた。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/2/17 初雪 … カケスは雪の日も元気(栗東市)

先週末、栗東市に初雪が来た。今年は雪がないものとあきらめていたが、いざ雪が降ると忙しくなる。まず、雪が来たら撮影しようと決めていた、チョウの越冬撮影に向かう。貴重な雪が解けてしまう前に撮らなくてはと、気持ちが焦る。次は水田風景の定点撮影、昨年4月から撮りはじめた定点で、どうしても雪風景が欲しかったところ。次はカケスの撮影現場。ここは日陰なので、雪は解けにくい。ただストロボ撮影のため、雪が白トビしてしまわないよう、調整が微妙で難しい。山のカケスは雪の日も元気いっぱい。
(撮影・Canon6D・ISO160)

2020/2/10 ロック系歌手 … コナラの実を食べるカケス(栗東市)

「ジャッ、ジャジャー」冬の森からカケスの声が聞こえてくる。好奇心の強いカケスは、人の気配を感じると、スギやヒノキの常緑樹に身を隠しながら、その人の動きを覗き見ている。ハイカーたちが、弁当の食べ残しなど、捨てていないか、期待して見ているのだ。雑食のカケス、大好物はドングリ。落ち葉をめくりながら、ドングリを見つけ、丸呑みにする。鳴き声がロック系のせいか、体色も派手で、特に羽の一部でひときわ輝く青色が目立つ。カケスのやつが、今日もおいらを尾行していること、とっくの昔に気づいているぜ。
(撮影・Canon6D・ISO160)

2020/2/3 ホテル「池の端」 … コサギのねぐら(栗東市)

マンションの窓明かりが水面に映り込む、街中のため池に、コサギのねぐらがある。池の前には交通量の多い道路もあり、車が通るたびにコサギが白く浮かび上がる。なぜこんなにぎやかな場所をねぐらにしているのか。ここは人通りが多く、獣に襲われる危険はないだろうが、もう少し静かな場所はなかったのだろうか。午後9時、歩道に三脚を立てて撮影開始。ファインダーを覗いても真っ暗でピントが手探り状態。ピントリングを少しずつずらしながら、ピントの当たりを探る。ホテル「池の端」は今夜も満室。
(撮影・Canon6D・ISO400)

2020/1/27 最近の出版物から … 「ふゆのやちょう」世界文化社

世界文化社の月刊誌、かがくえほん「ワンダーしぜんランド」12月号のひとコマ。今回の企画は、コハクチョウのくらしや、カモのくちばしの秘密、冬の木の実、草の実を食べる小鳥たちなど、僕の写真を中心に構成されている。幼稚園児、保育園児が野鳥と関わる機会は、あまり多くはないだろうが、誌面に登場する鳥たちの、どこかひとつでも、興味を持ってくれると、作家としてはうれしくなる。それは、姿かたちでも良いし、色やしぐさであっても良い。その感覚が大人になっても残ってくれていると、なおうれしい。

2020/1/20 林道脇の崖の中で … ニホントカゲの越冬(栗東市)

僕の撮影フィールドの一つ、栗東市の金勝山(こんぜやま)は花崗岩が風化し、砂礫上に変質した「まさ土」の崖が多く見られる。まさ土の崖はもろく、スコップなどで軽く削り取ることができる。冬、林道脇の崖を軽く削り取ってみると、オサムシ、ゴミムシ、スズメバチ、カエル、トカゲ、カナヘビなどが、体の大きさに合わせた卵型の部屋を作り、越冬している姿を発見できる。この日の発見は、ニホントカゲの幼体。青く光る尾を、背中の上に丸めて乗せ越冬中。起こさないよう急いで撮影、掘った土で穴を丁寧にふさぐ。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/1/13 外来ネズミの好物は … ギシギシを食べるヌートリア(野洲市)

昨年の暮れ、琵琶湖とつながる水路に2頭のヌートリアがいた。水路わきの草地では、冬でも青々と葉を広げたギシギシが群生している。タデ科のギシギシは葉が大きく、大食漢のヌートリアを十分に満たしてくれる。特定外来生物に指定されているヌートリアは、駆除が進行しているが、人に対する警戒心は薄く、この個体も手を伸ばせば、頭をなでることができるほどの距離で撮影している。この子、お腹がいっぱいになると、水路を泳ぎ枯れたヨシ原に入り、ヨシ株に上がり昼寝をはじめた。そのお尻がなんとも愛らしい。
(撮影・Canon6D・ISO100)

2020/1/1 謹賀新年 … 幸せを運ぶアカネズミ(栗東市)

子年の福ねずみ‥
ご覧のあなたに、ドングリカプセルに詰め込んだ「幸運」をお届けチュウ♪
人差し指でドングリに触れ、願い事をすると、その願いは、きっと叶います。
楽しい1年になりますように‥
今年も、よろしくお願いします…
(撮影・Canon6D・ISO160)