2011/12/26 里の初雪(大津市)

僕が何度も通っている、田んぼと隣り合わせのドングリ林。落ち葉の下のドングリや落ち葉の下の生きもの探しをしていると、ちらほらと雪が舞い落ちてきた。最初は風花がダンスを踊るようにゆっくりと・・・ やがて雪は細かくなり本降りになった。田んぼの土は、あっという間に雪に覆われ、ドングリ林の木々の枝も柔らかな雪を乗せはじめた。初雪は、林の片隅で冬越をはじめていたホソミオツネントンボの背中にもひと雪ひと雪重なりながら、静かな里の景色を白一色に包みこんでいった。

2011/12/19 イロハモミジの種子(栗東市)

すっかり葉を落としたモミジの枝先に、たくさんの種子が残っていた。ブーメラン形に見える種子は、中央に二つ並んだ球形の種子が分かれてひとつひとつ落ちてくる。そのとき二つに分かれたブーメランはプロペラのような形状をしているため、くるくると回りながら落ちる仕組みになっている。これは種子を少しでも遠くへ飛ばし、なかまを増やすための仕組みで、風の強い日ほど遠くへ飛んでいく。来春根を伸ばした種子は、しばらくの間この羽をつけたまま生長するので、地面に小さな旗が立てられたように見える。

2011/12/12 どんぐり林を走るニホンリス(栗東市)

今年は、コナラなどのドングリの実が豊作で、大木の下には数えきれないほどの実が落ちている。そんなドングリをリスたちが見逃すはずはない。その場でいくつか食べると、次はひとつ口にくわえては、実を隠すため林の中を跳ねるように走りまわる。倒木の陰や落ち葉の下、樹皮の裂け目など隠し場所はいろいろある。ふさふさの尾を振りながら、頭を隠し場所に突っ込んでいる姿を見ていたら、僕に気付いたようで「しまった・・・見つかった」という目をしたので、「僕は何も見てませんよ」と知らん顔をしてあげた。

2011/12/5 捕らわれたカワムツ(栗東市)

「今週の一枚」はリバーサルフィルムで撮影した作品を、基本的にノートリミングで掲載している。この写真はカワムツがヤマセミに捕らえられた瞬間を50mmマクロレンズで撮影したもので、普通は捕食者のヤマセミが主役になるところを、捕らえられたカワムツ側を主役に狙った作品だ。つい先ほどまで、いつも通りに清流を泳いでいたカワムツが、ほんの一瞬の間に胴体の真ん中をヤマセミのくちばしに捕らえられ、水上に引きずり出される。尾を激しく振り、逃れようとするその目は何を語っているのだろうか。

2011/11/28 草もみじ(甲賀市)

里に紅葉の季節がやってきた。紅葉は樹木に限ったものではなく、野道の草にも美しく紅葉するものがある。写真の風景にも、赤褐色に紅葉したコナラの林に続く野道を赤く彩る草がある。このように草が色づくことを俳句などでは「草もみじ」とよぶことがあり、赤く色づく草としてはヨモギやシロザ、ススキなど、黄色く色づく草としてはヤマノイモやヘクソカズラなどがある。草もみじの野道には、羽のすり切れたアキアカネが最後の命を輝かせていたり、動きの鈍いカナヘビやアマガエルが冬支度していたりする。

2011/11/21 お寺のタヌキ(栗東市)

僕の撮影フィールドのひとつ、山あいにあるお寺の周辺にはたくさんの哺乳類が暮らしている。その中で、モデルとしてフィルムに登場する機会が一番多いのがタヌキだ。それだけ生息数も多いのだろうが、シカやイノシシなどに比べるとカメラに対する警戒心が少し弱いのかもしれない。写真のタヌキは、どこかまだ幼さが残っていて、くりんとした目がとても愛らしい。タヌキは雑食性で肉、魚、木の実など何でも食べるので、滋賀県では山地に限らず、里から市街地、琵琶湖岸まで幅広く生息している。

2011/11/14 スダジイの落実(栗東市)

モミジバフウやイロハモミジが色づく公園で、スダジイの木の下にたくさんの実が落ちていた。スダジイは「シイの実」として親しまれ、昔から食用にされてきた。スダジイはドングリのなかまの中では、実に含まれる渋みの成分となるタンニンの割合が少ないので、あく抜きなどの手間を掛けずに食用になる。山中にあるこの公園には、シカもシイの実を食べにきているようで、落実のまわりにコロコロの糞がたくさん落ちている。その大きさと黒光りの色合いがそっくりで、危うく実と間違えて拾いそうになる。

2011/11/7 クヌギシギゾウムシの幼虫(栗東市)

クヌギやコナラ、アカガシやツクバネガシ。ドングリのなかまたちが落実する季節になり、競い合うようにその実を拾い集める子供たちを、あちらこちらで見かけるようになった。拾い集めたドングリを、プラスチックケースなどに入れておき、しばらく放っておくと「カリカリ、カリカリ」とケースの中から聞こえる音がある。ケースを少し揺らすとその音は消えるが、またそっとしておくと「カリカリ、カリカリ・・・」と聞こえはじめる。やがてドングリの皮をまん丸に食い破り、ころんころんの幼虫が現れる。

2011/10/31 波状雲(栗東市)

写真の整理をしていて、ふと窓の外を見ると雲の帯が綺麗に整列していた。これは波状雲と呼ばれる雲で、この雲は冷たい空気の層の上に暖かい空気の層が重なっているときにできる雲らしい。理屈はともかくとして、ふとした時に見上げた空に、美しい雲や面白い形の雲を見つけると、雲の形が壊れてしまわないうちに急いで写真に残しておきたくなる。そんな時に限って画角に会わないレンズがカメラに装着してあり、レンズ交換にあたふたして危うくカメラを落としそうになったりする。

2011/10/24 ヤマガラ(栗東市)

「ツツピー、ツツピー」森の中でいち早く色づきはじめたウルシの木で、大きな声でさえずるヤマガラがいた。僕が子供のころ縁日などへ行くと、小さな扉を開けておみくじを引いてくるように飼い慣らされたヤマガラがいて、そのようすが面白くて、地面に座り込んで何時間も見ていた記憶がある。僕が野鳥を撮りはじめて最初にモデルに選んだのもヤマガラで、ひと際愛着を感じる鳥だ。森や街路樹などで出会ったりすると、あちらこちらと枝を行き来するその姿を、自然と目で追いかけてしまう。

 

2011/10/17 ひと足早い紅葉(長野県木曽郡)

今月の4日、木曽の御嶽山7合目。冬期には雪に埋もれてしまう道を車で走っていると、爽やかな秋晴れの空を背景にして、ドウダンツツジの鮮やかな紅葉が目に飛び込んできた。カラマツがやや黄葉しはじめていたものの、まだ緑色の葉を抱いた木々が多い中で、いち早く色づいていた。葉はなぜ紅葉や黄葉するのだろうか? その答えは・・・ 今回PHPより出版された「紅葉・落ち葉・冬芽の大研究」に詳しく紹介されている。あ!! 御嶽山紹介のはずが、いつの間にか本の宣伝になってしまっていた。

2011/10/10 山里の芋がら作り(栃木県那須烏山市)

先週末、母の実家へ行くと向かいの家のお婆さんが芋がら作りをしていた。「芋がら」とは里芋の茎を割いて乾燥させた保存食のようなもので、水で戻して味噌汁などの具として利用するとシコシコとした食感があり、僕にとってなつかしい「故郷の味」のひとつだ。滋賀に暮らしはじめてからは「ずいき」とよばれる里芋の生の茎は見かけるが、干した芋がらを見たことがない。帰り際に母が持たせてくれた芋がらと里芋を、早速味噌汁にして味わってみた。この味と故郷の風景が僕の撮影の原点なのかもしれない。

2011/9/26 姿を消したノシメトンボ(栗東市)

稲刈りの進む田んぼの畦で、ヒガンバナのつぼみにノシメトンボがとまっていた。今から5年ほど前までは、秋になると一番多く目にするのが、このノシメトンボだった。電線に列を作っていたり、枝先のとまり場を争うようにしていたりと、あまりにも普通に見られるトンボのせいで、一度撮影するとその後にカメラを向けることはほとんどなくなっていた。それがここ数年、その姿が激減してしまい、姿を見かけると「ここでは生きていてくれたんだ・・・」と一安心してしまうほどのトンボになってしまった。

 

2011/9/19 ハイイロチョッキリ(野洲市)

ドングリ拾いをして、そのまま放っておいたら白いイモムシがたくさん出ていた・・・ なんて経験ありませんか? その正体のひとつがこの昆虫です。まだ若いドングリの殻斗(帽子)の部分に長い口吻で穴を開けてその中に産卵し、その実のついた小枝を地面に切り落とします。ですからこの昆虫のいるドングリの木の下には、まるで風に飛ばされたような、枝葉を付けたままの緑色のドングリがたくさん落ちています。卵は実の中で孵化し、中身を食べながら成長した幼虫が穴をあけて出てくるのです。

2011/9/12 古代米(宇治市)

広い水田地帯を車で走っていると、遠くに赤色や黒色に見える一角が目にとまった。近づいてみると、それは古代米とよばれる赤米と黒米で、穂を垂らし風に揺られていた。特に赤米は色が鮮やかで、籾に付いた針のような長い芒までが赤く、夏の日差しに照らされてきらきらと光っていた。秋の実りといえば「黄金色の稲穂」が当たり前になっているが、もしこの赤米が水田地帯全体に植えられていたとするなら、棚田や里の風景もかなり違った印象になったのではないだろうか。「Come on エキゾチック水田!!」

2011/9/5 夕焼け小焼け(守山市)

僕は、琵琶湖の東側に住んでいるので、夕日は琵琶湖対岸の比叡山に沈んでいく。夕刻に琵琶湖東岸を車で走っていると、時に美しい夕焼けを見ることがある。夕焼けは、日が沈む前と沈んだ後で刻々と空の色を変え、撮影心を楽しませてくれる。この日の空も、黄から朱へ、赤から紫へとその色を変化させていった。空に浮かぶ雲も、夕焼け空をデザインする重要なアクセントで、雲の形や配置によって黄昏の感じ方が変わってくる。そんな雲を眺めているのも楽しいが、やがて首の筋肉が悲鳴を上げる。

2011/8/29 綿の鉢植え(栗東市)

今週の1枚、5月16日に掲載した「綿の発芽」が順調に生長し、花と実をつけている。地面に植えると2m近くまで生長する綿だが、6号鉢に植えて50cmほど生長したところで剪定してやると、こんな風に花や実を楽しむことができる。などと専門家のように言っているが、実は栽培本からの受け売りで、僕もそれを参考に初めて育ててみたわけで・・・ 写真の綿は和綿で、もうじき実が割れて、下向きに白い綿ができるはず。その撮影が楽しみで、毎日の水やりをかかせない。

 

2011/8/22 カギカズラ(京都市)

僕は時々京都府立植物園に出かける。一度に何種類もの植物にも出会うことができるし、普段見ることのない植物に出会うことができるからだ。このカギカズラもそのひとつ。常緑のつる性樹木で、小枝が変化した釣り針のようなカギが特徴。このカギでまわりの樹木にからまりながら10m以上も上っていくらしい。暖かいところを好む植物で、北限に近い京都府や兵庫県では絶滅危惧種に指定されているとのこと。木漏れ日の当たる「カギ」に惹かれて撮影してみた。

2011/8/15 オオカマキリ幼虫の捕食(栗東市)

薄暗い林道で、「カナカナカナ・・・」と鳴くヒグラシの声を楽しみながら撮影していると、背中側から「ジジッジジッジジッ」と聞き慣れない声が聞こえてきた。その声は笹薮の中から聞こえていて、近づいて覗き込んでみるとオオカマキリの幼虫がヒグラシを捕まえていた。笹薮でじっと待ち伏せをしていて、近くにとまったヒグラシを捕らえたのだろう。ヒグラシは羽を激しく震わせながら「ジジッジジ・・・」と鳴きながら必死に逃れようとするが、幼虫といえども鎌状になった前肢は力強く、決して逃すことはなかった。

2011/8/8 チューリップの種子(栗東市)

昨年秋に鉢植えにしたチューリップの球根が、100個程の種を結んだ。チューリップは違う品種どうしで交配させると種子ができると聞き、4月に花を咲かせた2種類をそれぞれ交配して受粉させてみた。その結果どちらも受粉し、花が落ちた後に子房がどんどんと膨らみ、7月上旬までは緑色をしていたが、やがて葉も茎も子房も枯れて茶色くなった。種子は3つに割れた子房からこぼれて落ちるのだが、この写真はその1つを切り離して中のようすを撮影したもの。種子がきれいに整列しているのがわかる。

 

2011/8/1 アオバズク(栗東市)

ツブラジイの大木の木陰にアオバズクがいた。近年、滋賀県ではアオバズクの数が激減していて、僕の撮影フィールド内でも長い間、その姿を見かけることがなくなっていた。ところが今年、田植えがはじまったころ、「ホーホー、ホーホー」と山の向こうからアオバズクの声が聞こえてきた。鳴き声を求めて行くと、2羽のアオバズクが並んでいるのを確認。オスからメスへの求愛給餌も確認、数日後営巣も確認し、久しぶりの雛誕生を期待したのだが、巣穴のあった幹が朽ちていたようで、数日後崩壊してしまった。残念!!

 

2011/7/25 トビモンオオエダシャクの幼虫(栗東市)

桜の小枝に擬態した幼虫を発見。触れてみるとかなりの堅さがある。見た目だけではなく感触まで擬態しているということになるのか。いやいや調べてみるとそれだけではないようで、この幼虫は、体の表面から擬態している植物と同じ臭いを出して、アリたちの攻撃を逃れているらしいのです。野鳥たちの目を欺き、アリたちの嗅覚を欺きながら成長していく幼虫の生きるすべに感心させられる。この幼虫、夏の終わりから秋にかけて土に潜って蛹に変身。翌年の春、蛾に変身する。

2011/7/18 モズの幼鳥(草津市)

公園でセミの撮影をしていると、水道にモズの幼鳥がやってきた。上半身は、親鳥とほぼ変わりなく「モズ」の片鱗を見せているが、尻つぼみの尾がまだまだ未熟なモズであることを証明している。口を大きく開けて暑そうにしているが、残念なことに水道付近の水は干上がっていて、蛇口をひねることもできず考えあぐねているようす。近づいて蛇口を開けてあげたいところだが、僕が近づけば、一目散に飛んで逃げるに違いない。ドリトル先生のように動物と会話ができたらな・・・ なんて思いつつシャッターを切った。

2011/7/11 イシガメの産卵(大津市)

生きもの撮影をしていると「あと一歩早くに気づいていれば」ということがよくある。この写真もその1点だ。つい先日、池のほとりで産卵しているイシガメに出会った。見つけたときにはすでに産卵を終えて、後ろ足でその卵に土をかぶせているところで、残念ながら産卵シーンを見ることはできなかった。その朝、カメが産卵しているすぐ脇の道を僕はなんども往復していて、きっと産卵中も横を歩いていたはずなのだが・・・ 目線を樹上にやったまま歩いていたので気付かなかったのだと思う。膝あたりにも目がほしいな〜

2011/7/4 スミナガシ(大津市)

クヌギの樹液にスミナガシがきていた。水に墨を落とし、刻々と変化する模様を楽しんだり、その模様を和紙や布に染め付けたりすることを「墨流し」というそうで、このチョウの羽色を見ると「スミナガシ」の名が納得できる。あまりポピュラーなチョウではないが伝統工芸品のようなシックな色合いに魅かれ、チョウ愛好家の間では人気があるようだ。人気の秘密には幼虫や蛹のユニークな形態にもある。僕はそのどちらも見たことがないので、いつか出会う日がくることを心待ちにしている。

2011/6/27 アサガオの受粉(栗東市)

アサガオが咲きはじめる季節になりました。みなさんはアサガオの種がどうしてできるか知っていますか? アサガオの花にはほとんど虫がくることもなく、深夜から午前中にかけての短時間だけしか咲いていないのに、どうやって受粉しているのでしょうか? 少しかわいそうな気がしますが、開花直前のつぼみ中を見てみることにしました。真ん中の長いのがめしべ、それを囲む短い方がおしべです。今は短いおしべですが、花が開くにつれて数時間でぐんぐん伸びて、めしべと触れ合い受粉するのです。自家受粉の仕組み、うまくできていますね。

2011/6/20 ウリ坊の昼寝(兵庫県)

ここは芦屋近くの有名なイノシシ撮影スポット。何代か前のイノシシが人に慣れ、その子がまた人に慣れ、またその子がといった具合で、野生のイノシシでありながら人を恐れることがまったくない。そんなわけで、人がそばにいても安心して遊び、授乳や昼寝をしたりする。この時期の子供はウリ坊の模様がはっきりしていて可愛い盛り。遊び疲れると木陰で並んで眠りにつく。性格も色々あるようで、少し神経質な子はどうやらシャッター音が気になるらしく、眠いのに寝られない半眼状態。それがまた可愛い。

2011/6/13 巣立ち直前のアオゲラ(栗東市)

林道を歩いていると森の中から「ゲゲゲゲ」と声が聞こえてきた。今まで何度もその声を聞いているので、声の主がキツツキ類の雛であることがすぐにわかった。雛たちは木に開けられた穴の奥で育つので、声はくぐもったように聞こえてくる。声のする方向へ近づいてみると、コシアブラの樹上に巣穴があるのが見えた。少し離れた藪の中に身を隠しレンズを構えていると、今まさに巣立とうとするオスの幼鳥が顔を出した。もう少しようすを見ていたかったのだが、蚊の大群に囲まれてしまい慌てて逃げ出した。

 

2011/6/6 キセキレイ営巣(高島市)

未舗装の林道を車で走りながら木々の緑を楽しんでいると、突然フロントガラスの前をキセキレイが横切った。あわててブレーキを踏み、飛び出してきた方向の岩場を見てみると、車の屋根くらいの高さに巣があるのが見えた。対向ができない程の道幅しかない林道だが、偶然そこには待避所があり、車をはじに寄せて餌を運ぶようすを車内から観察することができた。長居をすると親子にストレスを与えてしまうので、車の窓を少し開けて、子育てを数カット撮影させてもらいその場をあとにした。

2011/5/30 生まれたてのオオカマキリ(栗東市)

オオカマキリの卵は5月下旬の暖かい日に孵化する可能性が高い。そろそろ孵化するのではと予想し、冬の間に見つけておいたいくつかの卵のようすを確かめに出かけた。春の間に草刈りされてしまっている場所などもあったが、山あいのススキ野原で今まさに孵化中の卵があった。こんな風に自分の予想が的中したりすると、野山遊びがより楽しくなる。卵からぶら下がるように孵化したカマキリたちは、体が固まると次々に歩きはじめ、それぞれ広い野原に散らばっていくが、天敵からのがれ、この秋まで生き残るカマキリはごくわずかだ。

2011/5/23 ナナホシテントウ(栗東市)

これがナナホシテントウ?と思われる方もいるかもしれませんね。普段見かけるナナホシテントウは鮮やかなオレンジ色に七つの黒点がありますが、さなぎから羽化したばかりの時は黄色一色なのです。羽化から5分もすると少しずつ黒点が現れてきて、体色もオレンジ色に変わってきます。草地の限られた範囲にまとまって羽化が見られるので、ひとつ羽化を見つけるとあそこにも、ほらあそこにも、といった感じで見つけることができます。ここで問題です。みなさんは、この写真に七つの黒点の配置を書き込むことができますか?

 

2011/5/16 綿の発芽(栗東市)

昨年秋に採取した綿の種子を、植木鉢に植えてみた。まず小さなケースに水を張り、種子を入れて根が出るのを待つことにした。すると意外に早く発根し、2日後には白い根が顔を出した。早速鉢に植えてみるとこれまた意外に早く、3日後には土が盛り上がり種皮の部分が現れた。種皮を乗せたままの発芽は文字通り「綿帽子」をかぶった発芽で、現在は綿帽子を脱いで双葉を広げている。地植えした場合2mにもなる綿の木。物の本によればうまく剪定すれば6号鉢でも栽培できるとのことだが、さてどうしたものか・・・

2011/5/9 カスマグサ(栗東市)

花の大きさは5mmほど。同じなかまのカラスノエンドウやスズメノエンドウと、つるを絡ませながら並んで咲いていることもあります。さて、「カスマグサ」という名前ですが、その花の大きさなどからカラスノエンドウとスズメノエンドウの中間くらい・・すなわち「カラス」と「スズメ」の「間」で「カスマ」になったらしいのです。なんとも理不尽な命名だとは思いませんか?せめて「ツバメノエンドウ」くらいにしてあげたかったですね。

2011/5/2 モンシロチョウの攻防(大津市)

車で春を探していたら、ナノハナ畑が目にとまった。早速撮影を開始すると、あちこちでモンシロチョウの乱舞が繰り広げられていた。これはオスたちによるメスをめぐる攻防で、この写真でいうと、先頭にいる羽の半分ほどがグレー色に見えるのがメスで、その他はオスということになる。モンシロチョウのメスは、背中側から見ると羽の付け根側にグレーの部分があるので、慣れてくると飛翔していても見分けられるようになる。この季節オスは蜜を吸う時間を惜しんでまでメスを探して飛び回る。

2011/4/25 アズマヒキガエルのオタマジャクシ(栗東市)

両生類苦手な方、ごめんなさい。この写真を見て悲鳴あげたのではありませんか♪ こんなにたくさんのオタマジャクシがいるのですから、「絶滅」なんて言葉とは無縁の生きもののように思われるかもしれませんが、僕の撮影フィールドでは、年々その姿を見かけることがなくなってきました。撮影フィールドの山にトンネルができたことで、地下の水脈が変わったのか、水たまりがなくなり産卵場所がなくなってしまったのも、その原因の一つかもしれません。こんな可愛い生きものたちがいつの間にか、いなくなってしまうのはとても寂しいことだと思います。

2011/4/18 シダレザクラ(京都市)

この季節、京都は桜見物の観光客たちでどこも賑わっている。芽吹きの撮影に訪れた京都植物園も多くの花見客が桜を楽しんでいた。いろいろな品種があるなかで、やはりシダレザクラは人気があるようで、携帯電話を含め、カメラを構えた人たちが樹木回りを取り囲んでいた。この写真を少し下に向けただけで、何人もの頭が写り込むが僕の身長は185cm。こんな撮影時には長身が役に立つ。

2011/4/11 チューリップ畑(三重県)

4月に入り大分春めいてきたとはいえ、まだ冬のなごりがあちこちに見られるが、この公園に入った瞬間そこは春爛漫。チューリップが公園全体を虹色に彩っていた。はたして何種類のチューリップが何本植えられているのだろうか。品種名を見ながら散策してみると、ごく一般的な一重咲きはもちろん、八重咲き、ユリ咲き、フリンジ咲きなど、咲き方もさまざまである。原種に近い品種などを見ると、これがチューリップ?と首をかしげてしまう。誰もが知っているチューリップだが、調べてみるとなかなか不思議で面白い。

2011/4/4 廃工場のフクロウ(甲賀市)

大津市瀬田から信楽へ抜ける大戸川沿いの道周辺が、第二名神工事やダム工事に伴い大きく変貌した。工事前、その道沿いには2ヶ所でフクロウが繁殖していたが、そのどちらもが木を切られ失われてしまった。林道を少し入った廃工場にダクトのような煙突があった。その煙突に向かう階段に、鳥の羽や獣の毛のようなものが散乱しているのが気になり、そっと覗いてみると抱卵中のフクロウがこちらを見つめていた。その目が何か言いたそうに思えて…

2011/3/28 ニホンアカガエルの卵塊(大津市)

小さな谷の小さな棚田。その棚田を見下ろす、一番上にある田に小さな水たまりができていた。その水たまりにニホンアカガエルの卵塊があった。このカエルは冬眠の途中に一度目を覚まし、まだ冷たい雨の降る夜に産卵をする。そんな夜に田んぼへ出かけてみると、メスに求愛するオスたちの声が、まるで人の笑い声のようにあちこちから聞こえてくる。アカガエルの産卵時期は短く、産卵を終えると再び冬眠に入る。

 

2011/3/21 オオイヌノフグリ自家受粉(栗東市)

早春にいち早く花を付けて、野道を優しい空色に彩るオオイヌノフグリ。とても小さな花だが、子孫を残すための巧みな技を持っている。花は日が当たりはじめると少しずつ開いていき、また暗くなると閉じていく。その閉じていく過程で、花粉をつけたオシベが内側に寄り、メシベにくっつき自家受粉する。小さなアブたちなど、昆虫によっても花粉が運ばれ受粉することはできるが、こんな自家受粉の技を持つことで、効率良く群生地を広げていくのだ。

2011/3/14 コナラ発芽(栗東市)

まだ寒い日が続く中、落ち葉の下にコナラの発芽を見つけました。地面をそっと掘ってみると、冬の間にしっかりと根を伸ばし、発芽の準備を調えていたようです。今はほんの5mmほどの芽生えですが、いつの日か見上げるほどの大木に育ち、たくさんのドングリを枝先に付けてくれることでしょう。少々時間はかかりますが、この木のまわりが人や動物で賑やかになってくれるといいな…と思っています。

 

2011/3/7 チューリップ種子の発芽(栗東市)

昨年の夏に採集したチューリップの種子を11月に蒔いてみた。採集した種子の中から胚のしっかりしたものを選んで、35個ほどの種子を植木鉢やプランターに植えてあり、今日までにその中の14個が発芽をはじめている。今年の夏にはマッチの先くらいの小さな球根ができるようで、それを冬前に植えて翌年の夏、それより少し大きくなった球根ができる。それを3〜5年繰り返すと、普通に売られている球根に育つ。種子から育てると世界にひとつだけのチューリップが咲くそうなので… 5年後を楽しみ…

2011/2/28 ヒヤシンス水栽培開花(栗東市)

11月後半からはじめた水栽培のヒヤシンスが満開になった。同時にはじめた球根の中には、まだつぼみが出はじめたばかりのもあり、品種などによって生長の早さも違ってくるようだ。ヒヤシンスを育てている部屋に入ると、花の香りが充満していて一足早い春の訪れを感じることができる。今日はヒヤシンスの隣にある水栽培のクロッカスのつぼみが大きくほころびはじめていて、開花が近いことを予感させた。撮影部屋に春がまたひとつ訪れる。

 

2011/2/21 コクゾウムシ(栗東市)

先日見つけたコクゾウムシを、ジャムの空き瓶に半分くらいまで米を入れて、6匹ほどを飼育している。体長は2mm〜3mmくらい。図鑑などによると成虫で越冬するらしく、暖房のない部屋に置いておくと、寒い時間帯はあまり動かないが、少し室温が上がると瓶の中を忙しく動き回る。この春には、小さな米粒の中で幼虫から蛹に変身していくようすを、ぜひ見てみたいと思っているが、歳のせいで近いところがとても見にくくなっているのが、少々不安材料だ。

2011/2/14 フウセンカズラの種子はハートマーク(栗東市)

今日はバレンタインデー。チョコレートに添えて、こんな種子を送ってみたらいかがでしょうか。春に蒔くと、つるを伸ばしながら夏に小さな白い花を咲かせます。そして秋には風船の形をした実がたくさんついて、風にゆらゆら揺られています。その可愛い風船の中に種子が入っているのです。「ひとつのハートから、たくさんのハートが育つんだよ」… なんて耳元で囁けば、きっとその恋GETできますよ… たぶん… おそらく… 当たって砕けろです。

2011/2/7 ホソミオツネントンボの冬越し(大津市)

ほとんどのトンボは、卵の状態やヤゴの状態で冬を越すが、唯一このトンボだけは成虫で冬越しをする。そんなわけでオツネン(越年)トンボと名がついたのだろう。春から夏にかけて水田でよく見かけるが、そのころのオスは鮮やかな青色をしている。冬になると細い枝と同色になり、枯れた笹薮などで冬越しすることで、天敵の鳥たちからも見つかりにくくなる。風が吹こうと、雪が降ろうとじっとしたまま春を待つ。

2011/1/31 しぶき氷(守山市)

厳しく冷え込んだ朝、琵琶湖の冬の風物詩「しぶき氷」が日の光に照らされ、きらきら輝いていた。「しぶき氷」は、比良山や比叡山から吹き下ろす強風で湖面が激しく波立ち、そのしぶきが湖岸に生える木々の枝などに吹きかかり、雫になりながら凍っていく現象だ。しぶきがかかる枝の形や草の形状によって、できあがるオブジェの形が違ってくる。風と気温など条件が揃えば、湖岸を車で走りながら、さまざまな氷の芸術を楽しむことができる。

2011/1/24 セグロセキレイ(大津市)

増水から一気に水が引き、浅瀬に取り残された小魚がたくさんいた。そこにビビーンビビーンと鳴きながらセグロセキレイがやってきた。セグロセキレイは羽根を広げ、リズミカルなダンスを踊るようにその小魚を追い回しはじめた。さて、どうするものかと見ていたら一匹、また一匹と小魚を捕らえ丸呑みにしはじめた。街中や公園、田んぼや畑などちょこちょこと歩く姿がごく普通に見られるセグロセキレイ。隠された野生の瞬間を見たような気がした。

2011/1/17 水栽培3種(栗東市)

11月からはじめた水栽培。チューリップ(左)、クロッカス(中)、ヒヤシンス(右)。3種それぞれに、根の出方や発芽のようすが違っていて面白い。毎日見ていると生長の変化には気付きにくいが、1週間おきくらいに撮影して比べてみると、その変化がよりはっきりと見えてくる。これからどんな風に育っていくのか、うまく開花までこぎ着けるのか、楽しみでもあり不安でもある。綺麗に開花した写真を、またここで紹介できたらいいのだが…

2011/1/10 カニムシ(栗東市)

これはサソリ?・・・と思われる方もいるかもしれませんね。姿は似ていますが体長は3mmほど。落葉の下などに生息し、落ち葉を食べる小さな生きものを捕食しているそうです。つい先日落葉めくりをしていて出会いました。松葉などでちょっとつついてみると、ザリガニのようにハサミを上げて一人前に威嚇姿勢をとります。後に上手に歩けるところもザリガニに似ています。「ムシ」と名がついていますがクモに近いなかまです。

2011/1/3 渓谷の雪風景(大津市)

初雪に誘われて、琵琶湖北西部の森へ出かけてみた。途中にある渓谷沿いの木々は、次々に舞い降りる新しい雪を枝にまとい「この瞬間を撮って」とばかりに誘ってくる。カメラの防水に気をつけなければならないが、撮りはじめると夢中になってしまい、カメラから流れる水滴を見ては、車のエアコンで乾かすことの繰り返し。しんとしたモノトーンの大きな風景の中に、バタバタとあわてふためくちっぽけな自分がいた。